イオンモールベトナムを支える最大の要因は、何といっても人口が増え続けている点でしょう。
IMFの試算では、ベトナムの人口は2025年以降も増え続け、2030年には1億600万人近くになり、GDPも6665億ドルまで上昇するとしています。ベトナムは2024年に合計特殊出生率が1.91となり、人口を維持するための「2.10」に届かない状況になり始めたことから、今後の経済成長を疑問視する声もあります。
しかし、ベトナムの平均年齢は32.7歳。日本の平均年齢(2020年時点で48.6歳)と比較して15歳以上も若いのが特徴です。また、ベトナムの2023年度の小売・サービス・観光市場は約38兆円で前年比9.6%増(JETRO調べ)と、順調に拡大しています。
これからバンバン働いて、稼いで、子どもを育てていこうという世代である30代前半が平均年齢のベトナムと、子どもが大きくなり、そろそろ退職後の人生も考え始めようかという50代を目前にした平均年齢の日本では、その消費意欲も生活スタイルも全く異なります。
日本の1970〜80年代の人口動態特性を持っているところに、日本の最先端の小売りフォーマットが投入されているというベトナムでは、生活を豊かにしたいと考えてさまざまなモノに対する消費が生まれるのは当然の流れです。そこには大きな商機が存在します。
筆者がベトナムでお世話になった方の奥様は「今から40年近く前は小さな一部屋しかない家で、ゴザもないのでわらを敷いて寝ていた」と話を聞かせてくれました。その方は今ではハノイのタワーマンションの高層階に自宅を構えています。部屋には素敵なインテリアや最新デジタル機器が並んでいました。まさに隔世の感があります。その消費を支えてきたのが、イオンモールのような商業施設であり小売店です。
さらにベトナムには、タイやフィリピン、インドネシアのように圧倒的に強い財閥系小売りが存在しません。強い小売業がないのです。結果的にイオンモールが攻勢をかけるに至っているというのが今のベトナムの実態です。
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