コンビニ主要3社の1店舗当たり平均日販(2025年2月期)は、セブンが69.2万円、ファミマが57.3万円、ローソンが57.4万円だ。近年はセブンの販売力が低下し、ファミマとローソンに詰められているが、まだ10万円以上の開きがある。そこに気の緩みというか、慢心があったから、上げ底弁当と揶揄(やゆ)される商品など悪手を打ってしまい、ヘビーユーザーの怒りを買ってしまった。
経営陣としてみれば、世界の穀倉地帯であるロシア・ウクライナ戦争が始まったことによる、小麦、大豆、食用油、家畜の飼料高騰による原材料の値上がりは想定外だろう。米の急激な価格高騰、海苔やコーヒー豆の不作による価格高騰も、頭の痛いところだ。人手不足で人件費や輸送費も上がっており、値上げはやむを得ない。
ところが厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、6月の実質賃金は、前年同月比1.3%減で、6カ月連続のマイナスとなっている。コロナ禍から経済が正常化していく過程にありながら、国民は一貫して貧しくなり続けている。使える金額が減っているから、生活に密着したコンビニの値上げが骨身にしみるのだ。
値下げの施策として、ローソンでは従来価格のまま増量をする「盛りすぎチャレンジ」なる一連のキャンペーンを敢行。ファミリーマートでも「お値段そのまま デカくてうまい!!ざっくり40%増量作戦」を行うなど、安価でたくさん食べたい、コンビニの男性ヘビーユーザー向けの企画を適時、効果的に投入した。
こうした流れにセブンは遅れた。ファミリーマートやローソンが値段据え置きで4割、5割増量しているときに、上げ底弁当では、ブランドが棄損(きそん)するのも当然だろう。
もちろんセブンも2024年末に、比較的安価で買える商品を「うれしい値!」のロゴやシールを付けて売り始めた。直近では8月18〜31日の期間限定で、一部の「セブンプレミアム」や「セブンプレミアムゴールド」の商品を15%引きにするセールを実施している。
このような企画は、これまでリーチしていなかった顧客を振り向かせる機会創出になるので、継続する意義がある。
セブンもファミマも取り組む「無人コンビニ」はなぜ、普及しないのか 実際に行って分かった「限界」
セブンのPB、価格・サイズを「見直し」 プチぜいたく需要に訴求Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング