コスト高を吸収するための値上げと、購買力低下に悩むユーザーを救済する値下げのバランスを、ファミリーマートとローソンは巧みに操縦したが、セブンも遅ればせながら独自の勝ち筋を見つけつつある。
ただし、それだけで1000店も増やせるかは疑問だ。そこで、従来から推進してきた、コンビニと小型スーパーを融合させた「SIPストア」の拡大が必要だろう。
2024年2月に出店した松戸常盤平駅前店は、売場面積が約88坪と通常の1.5倍ほどの広さがあり、生鮮3品を本格的に扱い、冷凍食品などのコーナーも拡充させて、毎日の買い物の利便を追求。カウンター周りにある出来たてのフードやドリンクのコーナーも、より充実させている。2階には広いイートインのコーナーを設けて、地域の人たちが集えるカフェ的な利用も可能とした。
この店は、強力なディスカウントスーパー「オーケー」がすぐ向かいにあるが、特にスーパー閉店後の深夜帯が好調で、共存できているとのこと。そうであるならば、深夜・早朝に営業しない同様のスーパーの隣に出店する“コバンザメ商法”も可能だ。
生鮮の加工は、イトーヨーカ堂が千葉県流山市に構築した食品加工工場「Peace Deli 流山キッチン」から調達しており、コンビニとスーパーの経営分離の影響がどう出るか。不安な面もある。
また、イトーヨーカ堂がアダストリアと提携して、ファミリー層をターゲットに2024年2月から展開しているブランド「ファウンドグッド」も、2026年2月で終了となる。顧客層が老齢化したヨーカドーでは思ったほどの成果が上がらなかったようだが、セブンの顧客層には合っており、SIPストア向きの商品も多い。ファミマの「コンビニエンスウェア」やローソンで展開している「無印良品」にも対抗できる。
セブンは、雑貨では既に「ダイソー」と提携しているが、その提携も強化しつつ、ファウンドグッドも展開すればかなりの集客が見込めると思われただけに、残念だ。
セブンもファミマも取り組む「無人コンビニ」はなぜ、普及しないのか 実際に行って分かった「限界」
セブンのPB、価格・サイズを「見直し」 プチぜいたく需要に訴求Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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