定食チェーンの雄「大戸屋」と「やよい軒」、なぜ店舗数が頭打ちに? カギを握る要素とは(1/3 ページ)

» 2025年08月30日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 和食屋チェーンの代表格といえば「大戸屋」と「やよい軒」が挙げられる。両者ともご飯、メインおかず、汁物をベースとし、価格帯は1000円前後だ。牛丼チェーンやかつ丼チェーンより高いが、今やラーメン店と同程度であり「スタンダード」な価格設定といえる。

 似たもの同士の両者とはいえ、価格や立地、サービスの面で若干の違いが見られる。大戸屋は手作り感にこだわるため、価格設定がやや高めだ。やよい軒は比較的低価格であり、調理では大戸屋より効率化してきた。経営面でいえば、大戸屋は外食大手のコロワイドに救われ、やよい軒はMBOで株式を非公開化した。両者の違いを細かく比較していく。

大戸屋とやよい軒、両者の違いを見ていく(出所:大戸屋プレスリリース)

ともに1000円前後のチェーン

 大戸屋は1958年に池袋でオープンした「大戸屋食堂」をルーツとする。1983年に法人化し、2003年からフランチャイズ展開を始めている。当時の定食は概ね600〜700円台。デフレ時代のチェーンとしてはやや高めだが、味や質にこだわった店舗として消費者に支持されるようになった。

大戸屋のルーツである大戸屋食堂(出所:同社公式Webサイト)

 対するやよい軒は、1989年にほっかほっか亭のフランチャイジー企業(現プレナス)が副業として始めた「めしや丼」をルーツとする。めしや丼は2002年に100店舗を達成し、2006年に屋号を「やよい軒」に変更。やよい軒も当時は500〜600円台で定食を提供しており、牛丼店より高いが、個人店の和食屋より安い店として支持された。

 大戸屋のほうがやや高いイメージはデフレ時代も今も変わっていない。都内の店舗では960円の「大戸屋ランチ」のように1000円以下の料理もあるが、概ね1000〜1300円がベースラインだ。

 同じく都内で限定すると、やよい軒の定食は概ね900〜1200円であり、大戸屋より150円程度安い。筆者の個人的な意見だが、大戸屋のチキン南蛮は衣がサクッとしている一方、やよい軒のチキン南蛮はタレ漬けされた印象で、衣のサクサク感は薄い。品質の差は価格差に起因していそうだ。なお、やよい軒ではご飯のおかわりが自由である。

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