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生成AIで「計300万時間」の削減へ クレディセゾンが挑む全社員AIワーカー化の現実解(2/3 ページ)

» 2025年09月09日 06時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

非IT人材を巻き込む実践的メソッド

 試験導入の手応えを受け、同社は全社展開に向けた組織づくりに着手した。クレディセゾンが掲げる「AIワーカー」とは、単にAIツールを使える人材ではない。小野氏は「全職種、全階層でAIとともに仕事をする」と定義し、AIを業務の一部として自然に組み込める状態を目指している。

「AIを使う」から「AIと共創する」への転換を表した戦略概要。社内業務のAI化(EX)と顧客体験のAI化(CX)の両輪で、人間が高度な判断と企画、対面営業に集中できる体制を目指している

 推進体制では、各部門に「CSAXリーダー」を任命し、部門内での生成AI活用を推進。同時に「CSAX CoE」(CoE:Center of Excellence)を設置し、全社での人材育成や業務効率化の実装に向けた伴走を支援する仕組みを整えた。

 教育プログラムは段階的に構築している。基礎研修では、AIリテラシー、AIガバナンス、思考力の3つの柱で構成。応用研修では高度なプロンプト技術、業務再設計、職種別活用へと発展させる。クレジットカード、不動産リース・信用保証、グローバル、コーポレートの各事業部門の業務特性に合わせた最適化も進める。

 階層別の活用も進展している。管理職層では、ある部長が部下との1対1面談で「20代若手社員と会話できない」という悩みをAIに相談し、アイスブレイクに役立てた。水野克己社長は「7割はAIと会話している」と言い、「外に相談できない業務提携や出資などの相談」でAIを活用。「どんなアプローチをしたら相手が乗ってくるか」といった戦略的思考のパートナーとして位置付けている。

 40〜50代のミドル層については、「バックヤードはAIに任せ、営業部分を人が担う」(水野社長)形で業務の幅を広げ、より付加価値の高い業務へのシフトを促している。「計画はしない」と小野氏が強調するように、現場から生まれるアイデアを重視し、好事例を経営層・全社に共有する組織学習のサイクルを回している。

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