大阪・関西万博の海外パビリオンを巡る建設費の未払い問題は、出展国側が国の威容や文化を表現するために独自で設計し、万博の華とも呼ばれる「タイプA」のパビリオンで起きた。
出展国から元請けに建設が発注され、1次下請けから、さらにその下請けへと作業が細分化。建設や内装、電気設備や配管の工事といった重層的な受発注構造の中、資金が流れなくなったのだ。
これまでに、およそ10カ国のパビリオンで未払いトラブルが判明。外資系イベント会社「GLイベンツ」の日本法人への請求額が最も大きい。
GL側が元請けに入ったセルビア▽ドイツ▽ルーマニア▽マルタ−の4館で、下請け側がいずれも工事代金の未払いを主張しており、セルビア館とドイツ館の1次下請け(大阪市)による請求額は、約3億2千万円にも達する。
支払いを求めて訴訟を起こす動きも相次ぎ、この1次下請けは8月に東京地裁へ提訴した。
未払いなのは突貫工事の最中に発生した追加工事の費用だといい、開幕が迫る中、契約書を交わさずに口頭で請け負った作業も少なくなかった。
建築エコノミストの森山高至氏は「商慣習が異なる外資系との取引にはより注意が必要」と警鐘を鳴らしつつ「万博協会は、遅れが目立つ建設工事への参加を呼びかけており、契約前にもっと下請け業者側に寄り添うべきだった」と訴える。
こうした場合に「契約書に記載のない口頭発注が後に認められるという例はあまり聞いたことがない」とも説明する。
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