今年4月に開幕した2025年大阪・関西万博の会期は、残り約1カ月となった。無策のツケともいえる海外パビリオンの建設費未払い問題。起きた経緯やそれぞれの事情を多角的な視点で検証する。
「彼らの知識やノウハウ、人脈などが万博協会内部に蓄積されなかったことがトラブル拡大の一因だ」
「彼ら」とは国内トップの広告大手、電通グループ。東京五輪・パラリンピック大会を巡る談合事件に関与したとして捜査のメスが入り、大阪・関西万博の運営側から撤退するという前代未聞の事態を踏まえ、ある万博関係者は、複数の海外パビリオンで発覚した建設費の未払い問題についてこう漏らす。
電通グループの2024(令和6)年12月期連結決算は、最終赤字とはいえ収益が1.4兆円。広告やマーケティングにとどまらず、国家イベントの運営や街づくりなど事業内容は多岐にわたり、過去の万博運営でも、存在感を発揮し続けた。
1970年の大阪万博や、85年の国際科学技術博覧会(つくば博)、そして2005年の愛知万博。準備段階から社員を運営団体に職員として出向させることで、イベントやパビリオン建設、チケットの販売などで主導的な役割をこなした。
「いわゆる何でも屋。トラブルの対処や未然防止にもたけており、経験値は圧倒的」(広告関係者)。クライアントのみならず競合他社の評価も高い。
19年発足の日本国際博覧会協会(万博協会)にも、国や大阪府・市、ほかの民間企業と同様に社員を出向させたが、22年に東京地検特捜部が着手した東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で潮目が変わる。
翌23年、事件に関わった大手広告会社の入札参加資格を1年間停止する措置が決定したために、電通は出向社員を引き揚げ、「いわゆる司令塔が不在のまま、開幕へ突き進んだ」(広告関係者)のだった。
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