かつて日本の職場には、仕事をしているのかいないのか分からないけれど、なぜか周囲に慕われる「潤滑油」のような先輩や上司がいました。上司、部下を問わずチームのメンバーに日常的に声を掛け、他部署の人たちともよく雑談をしている──。「油を売るおじさん」「赤提灯上司」などと呼ばれた人たちです。
バブル崩壊後のリストラと成果主義の波は、こうした一見「無駄」に見えるけれど、組織の心理的安全性に貢献していた人々を真っ先に削ぎ落としました。数字を重視する評価制度で効率を突き詰めた果てに待っていたのは、ギスギスした人間関係と、組織の硬直化です。
今、こうした人々の「目に見えない貢献」が、再び脚光を浴びています。
その名も「職場のキーパーソン」。“仕事できる感“満載のワードでちょっとばかり戸惑いますが、産業能率大学が発表した「職場のキーパーソンについてのインタビュー調査」からは、現代の組織を実質的に下支えしているのは、ただ仕事のできるハイパフォーマーではなく、手薄になりがちなマネジメント機能を補完する「キーパーソン」たちであることが見えてきたといいます。
そこで今回は、かつて“無駄”だと削ぎ落とされた、油を売るおじさんや赤提灯上司が担っていた役割を、令和の組織がどう再評価すべきかを考えてみます。
最初に、件の調査結果の概要から。
調査では、キーパーソンを「管理職だけでは担いきれない役割を補いながら職場を支え、上司や同僚から『頼りにされる人』『いてくれると職場が回る人』と認識される人材」と定義。調査対象は「20代後半〜40代前半」「一般社員〜主任・係長・チームリーダーレベル」「次期管理職として期待されている(対象者がマネジャー職への昇進を希望していない場合を含む)」としました。
上記の条件を満たす人材10人にインタビューし分析した結果、職場のキーパーソンの意識と行動は、「自己」「チーム」「組織」の3つのレベルで整理されました(以下、抜粋・要約)。
また、将来のキャリア志向については、「管理職志向が高い層」と「明確な管理職志向のない、キャリアを模索する層」に二分されたそうです。
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