能登半島地震、復興のカギは「食」にあり? フレンチ風ラーメンや空弁、開発の裏側長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)

» 2025年09月29日 15時30分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。


 2024年1月に発生した能登半島地震は、ビルの倒壊や輪島朝市通りの大規模火災など、甚大な被害をもたらした。震災から1年半が経過し、被災地の報道は減少傾向にあるが、実は多くの飲食店が「食」を通じた復興の取り組みを続けている。

 例えば、回転ずしチェーン「スシロー」は9月から、能登町の名産“小木港のするめいか”を使用した「能登小木港いかのせ いか白湯醤油ラーメン」(460円〜)を提供(9月28日までの販売予定)。2月には、ラーメンチェーン「一風堂」が輪島市のミシュラン1つ星フレンチレストラン「L’Atelier de NOTO(ラトリエ・ドゥ・ノト)」の池端隼也シェフとコラボし、貴重な輪島産の七面鳥を使った「七面鳥ラーメン」を完成させ、都内レストランでお披露目の食事会を開催した。このラーメンは、今後ニューヨークの店舗での提供も検討されている。

 さらに、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で36年連続1位に輝いた石川県七尾市の和倉温泉にある旅館「加賀屋」は、全国8店舗のレストラン「日本料理 加賀屋」の営業や、各地の空港で販売するぶりやのどぐろの弁当の監修を通じて、加賀屋ならではのサービスを提供している。

加賀屋監修の空弁、のどぐろちらし寿司(出所:プレスリリース)

 本稿では、このような「食」を軸とした能登復興の取り組みを紹介したい。

スシローは能登のイカを使ったラーメンを提供

 スシローは2024年6月から、地域の隠れた名産や名物を全国の顧客に届けることで、地域を盛り上げ、還元する「スシロー“ジモメシ”プロジェクト」を立ち上げた。その第3弾として現在提供されているのが、「能登小木港いかのせ いか白湯醤油ラーメン」だ。

スシロー、能登小木港いかのせ いか白湯醤油ラーメン(筆者撮影)

 このラーメンは、能登町の小木港で水揚げされた「小木の船凍するめいか」の煮付けを、こってりとした白湯醤油ラーメンにトッピングしているのが特徴。実際に食べてみると、いかの柔らかさの中に程よいかみ応えがあり、うまみや香りがスープに溶け出しているのが印象的だ。回転ずしのサイドメニューを超えた、本格的な一杯に仕上がっている。

小木の船凍いか(出所:プレスリリース)

 小木港は、北海道の函館港や青森県の八戸港と並ぶ日本三大いか釣り漁港だ。「小木のいかは船内で釣ってすぐに一尾ずつ急速冷凍させるため、解凍しても鮮度が抜群」(能登町役場)とアピールしている。

能登小木港(出所:能登町観光ガイド)

 小木港も能登半島地震で大きな被害を受けたが、9月上旬には地震で生じた亀裂や傾斜の復旧工事の一部が完了し、漁港に再び活気が戻りつつある。市街にある「イカの駅つくモール」にそびえる巨大モニュメントの「イカキング」も健在で、地震にも負けずその存在感を示しており、今後も小木のいか漁再興のシンボルとして活躍しそうだ。

イカキング(出所:能登町観光ガイド)
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