余力があるうちに事業を畳む「円満な廃業」を目指す動きが広がっている。帝国データバンクが調査した結果、1〜8月に休業・廃業、解散を行った企業は4万7078件だった。このペースで推移すれば過去最多を更新し、初めて年7万件台に到達する可能性がある。
総資産が債務を上回る状態で休廃業した「資産超過型」は、2016年以降で最多となる64.1%だった。休廃業する直前期の決算の当期純損益が「黒字」は49.6%で、集計を開始した2016年以降で過去最低を更新。「黒字」かつ「資産超過」状態での休廃業が判明した企業が、全体の16.2%を占めた。
休廃業・解散時の経営者年齢は平均71.65歳で、5年連続で70歳代となった。年代別では「70代」(39.6%)が最多で、「80代以上」(24.7%)、「60代」(19.9%)と続いた。
業種別にみると、休廃業・解散件数はその他を除く全7業種で前年から増加。最も件数が多い「建設業」(5938件、前年比6.5%増)は、年間では2016年以降で最多を更新する可能性がある。前年からの増加率は「サービス業」(5884件、同20.3%増)、「製造業」(2289件、同20.2%増)が上位を占めた。
人手不足や後継者の選定など経営上の課題が山積するなかで、「自力での事業継続」か「円満な廃業」か、将来を見据えた経営判断を迫られる中小企業は少なくない。帝国データバンクは「無理に事業を続けて経営資産を目減りさせた結果、廃業できない状態になるよりも、M&Aなどを活用してあらかじめ経営資産を第三者に引き継いだうえで事業を畳む方が望ましいという『前向きな廃業』の考え方は、今後さらに浸透していく」とコメントした。
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