メルカリは9月30日、同社初の世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」の提供を開始した。まず台湾と香港で展開し、2026年春には米国での提供を開始する。今後3年以内に50以上の国・地域へ、中長期的には100以上の国や地域へ拡大する計画だ。
グローバルアプリを通じて、海外の購入者も日本のフリマアプリ「メルカリ」や、同アプリ内の事業者によるネットショップ「メルカリShops」の商品を閲覧・購入できるようになる。AIによるリアルタイム翻訳機能を搭載し、各国の通貨や決済方法にも対応する。
海外ユーザーが商品を購入すると、出品者はメルカリの倉庫に商品を送り、同社が海外への発送を担う流れだ。2026年1月以降は、メルカリによる発送前の全品検品を導入し、「商品は本当に届くのか」「品質に問題はないか」といった購入者の不安解消につなげる。
国内事業者の海外展開を支える基盤も整える。事業者はメルカリShopsに出店するだけで、自動的にグローバルアプリにも出店することになる。国や地域によって販売できない商品は非表示となる仕様だ。海外決済や国際配送・通関手続き、外国語での顧客対応などはメルカリがサポートする。決済はStripe、配送は佐川急便などと連携し、事業者が簡単に海外展開できる仕組みを提供していく。
注力分野は、アニメやキャラクター、グッズなどのエンタメ・ホビー領域。予約販売やオークション機能などを順次導入し、コンテンツの権利元企業とも連携して取引を促進する。
世界におけるホビーの市場規模は約17兆円で、年間成長率は約10%だ。日本を除くグローバル市場では日本のコンテンツが約24%のシェアを占める(バンダイナムコホールディングス調査)。メルカリの取引でも国内の約4割、越境取引の約6〜7割がエンタメ・ホビー関連の商品だという。
メルカリ執行役員の迫俊亮氏は、「(エンタメ・ホビー領域での)絶対的なナンバーワンプレイヤーは存在していない。メルカリは圧倒的な在庫量と日本発コンテンツという独自の強みを持っている。エンタメ・ホビー領域がマーケットプレース展開の鍵であると考えている」と説明した。
メルカリが海外展開を強化する背景には、越境EC市場の成長がある。経済産業省の推計では、2025年から2034年の年平均成長率は約23.1%とされている。メルカリは2019年に代理購入サービスを提供する企業と連携して海外展開を開始し、2024年に台湾、2025年に香港でWeb版「メルカリ」を提供してきた。越境取引の流通総額は、過去3年で15倍以上に拡大したという。
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