「差せないストレス」を解消せよ サンワサプライの“電源タップの常識破り”とは?テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(2/2 ページ)

» 2025年10月09日 08時00分 公開
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「車輪差し」構造が生んだ革新

 サンワサプライは、PC用アクセサリーやオフィス家具など、これまでに約1万3000アイテムを企画・開発してきた企業です。今回の新商品は、ユーザーの声や競合の動向を踏まえつつ、「仕方がない」と諦めていた不満を解消する提案となりました。

効率よくコンセントを差せるようになった

 本商品の最大の特徴は、縦にも横にも、間にも差せる独自の「車輪差し」構造にあります。これにより、誰もが一度は経験した「差し込み口は空いているのに、プラグやアダプターが干渉して挿せない」というストレスを解消しました。これまで電源タップは長さやデザインの改良が中心でしたが、差し込み口の形状自体を変えるという発想は、ありそうでなかったといえます。

 一方で、開発の過程は苦難の連続だったといいます。前例のない構造であったため、安全性を確保するには十分な絶縁距離を保つ必要がありました。この形にたどり着くまで、約3年の歳月を要したそうです。

 クラウドファンディングサイト「Makuake」で販売を開始したところ、応援購入総額は約1100万円、サポーター数は1900人弱を記録しました。潜在的なニーズの大きさを証明する結果となりました。

「小さな不便」こそ、イノベーションの種

 商品企画やアイデアを考えるとき、多くの人は競合の動向やユーザーの声をもとに、既存商品の延長線上で発想しがちです。しかし重要なのは、既存の常識をそのまま受け入れず、日常の中に潜む「小さな不便」を見つけ出すことです。

 今回の電源タップのように、当たり前すぎて気づかれなかった不便を見つけることこそ、新しい当たり前をつくる出発点になります。身近な“違和感”に目を凝らすことが、革新的なアイデアの源になるのかもしれません。

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