閉幕後の跡地はパビリオンなどが解体され、いったん更地になる。府市は夢洲を「国際的な観光拠点」とする青写真を描き、跡地利用について今年4月に基本計画を策定。アリーナ、ウオーターパークといったエンタメ施設を整備する案を示している。万博のシンボル「大屋根リング」は北東約200メートルを保存し、一帯を公園・緑地として整備することも決定。来春ごろまでに最終的な計画をまとめ、開発事業者を募集する。
その北側に開業を予定するIRは工事が進み、カジノのほかホテルや国際会議場、エンタメ施設などが整備される予定で、年間来場者は約2千万人、年間売上高は約5200億円を見込む。
しかし、関西経済連合会の松本正義会長は今月6日のインタビューで、跡地利用の基本計画に、国際的モータースポーツ拠点など万博とは必ずしも関係ない施設が導入例として記載されている点を疑問視。「経済界や専門家などの了解も得て、計画の策定を進めるべきだ」と述べた。
夢洲への交通網整備もにぎわい持続に欠かせない。府市は今年8月、JR西日本と京阪電気鉄道がそれぞれ夢洲へ延伸する案が優位とする試算を公表した。見込まれる事業費は計約3500億円。JR西の倉坂昇治社長は、府市や国などによる公的資金拠出などの方向性を見定める考えを強調している。京阪電鉄を傘下に置く京阪ホールディングス(HD)の平川良浩社長も、公的資金による財源確保は必須との考えを示している。
横山英幸市長は今月9日の記者会見で「かつてこの場所には万博があったと思い起こしてもらえるような仕組みが必要。圧倒的な非日常空間をつくりたい」と意欲を語った。巨額の事業費が予想される夢洲開発を進めようとすれば、万博と同様に官民の連携が問われる。(石橋明日佳)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング