メルカリ、悪質な転売への対策発表 しかし「手放し歓迎ムード」にならないワケとは(4/4 ページ)

» 2025年10月21日 08時30分 公開
[城戸譲ITmedia]
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プラットフォーマー規制の波が日本に到来してからでは遅い

 メルカリの事例のように、プラットフォーマーの影響力が増していることから、近年その責任を問う論調は強まっている。例えばCookie(クッキー)による情報収集は、EU圏での規制強化を発端に、事前の許諾が欠かせなくなった。

EUから広がった、Cookie規制(画像:ゲッティイメージズより)

 日本国内においても、プラットフォームは「場所貸し」であっても、その場所を貸し出す責任がある、といった考え方が徐々に広まってきている。すでにSNSの分野では、誹謗中傷や権利侵害などを抑制するため、4月に「情報プラットフォーム対処法」(情プラ法)が施行されている。フリマアプリのようなC2C取引も、同様に規制が強化される可能性は十分にある。

 いざ公権力が行使されて、初めて対応するよりは、今回のような「自主的な運用変更」の方が誠意ある対応だと感じる。ただ、自主規制だからこそ、むしろ「もっと早いうちからやっとけよ」といったツッコミどころを生み出しているのも事実だ。

 一度でも、目先の利益ばかりを追っているように見えてしまうと、その悪印象を払しょくするのはなかなか難しい。今回のルール厳格化はあくまで通過点でしかない。その先に「クリーンなフリマ空間」を見せられない限り、メルカリに対するユーザーの不信感が晴れることはないだろう。

著者紹介:城戸譲

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1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ニュース配信会社ジェイ・キャストへ入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長、収益担当の部長職などを歴任し、2022年秋に独立。現在は「ネットメディア研究家」「炎上ウォッチャー」として、フリーランスでコラムなどを執筆。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。


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