今回のメルカリの発表を消費者はどう受け止めているのか。SNSを見る限り、手放しで歓迎するムードとは言えず、ひとまず様子見をしているようだ。運用が変わったとしても、どれだけ実効性があるのか、いまのところ見えない点が大きいのだろう。
素直に「これで転売が撲滅される」と喜べない要因には、これまでメルカリが取ってきた姿勢もありそうだ。簡単に言えば、「転売対策に本腰を入れてきたようには思えない」といったイメージである。
コロナ禍以前から、フリマアプリでの転売は問題視されていた。にもかかわらず、有識者会議の設置から5年以上経って、ようやく一歩前進となることに、あまりに遅すぎると感じるのも無理はない。
加えて、メルカリが外部圧力によってようやく動いたと感じさせている点も、ネガティブな印象を与える。任天堂は5月、Nintendo Switch 2の発売に先がけて、メルカリとLINEヤフー(Yahoo!オークションとYahoo!フリマ)、楽天グループ(楽天ラクマ)と、不正出品行為への対策について合意していた。
しかし当時の対策は、商品が手元にない出品は制限しつつも、Switch 2の出品そのものを禁じるものではなかった。そして結果的に、有識者から「別の対応もあり得た」と指摘されるような結果を招いた。
こうした背景もあって、消費者は今回の発表を見てもなお、「これまで道徳的によくない転売を助長してきた」という印象をぬぐえるほどのインパクトを感じていない可能性が高い。汚名返上のためには、今回の規制強化が功を奏していると、これからの積み重ねで証明していくしかないだろう。
ただ、仮にこれでメルカリ内の治安が向上したとしても、また別の問題が出てくる。どれだけ批判を浴びても、頑固として変えてこなかった「自由な商取引」に例外を設けることで、「企業としての矜持(きょうじ)」が問われるためだ。
もしユーザーに不利益を与えても、「それによる収益減を見込んでもなお、自らの信念を貫く」となれば、プラス評価になる。しかし、そこにブレが見えてしまうと、すぐさま「信念がない」と判断されるのが世の常だ。
これまでフリマアプリなどのプラットフォーム企業は、あくまでサービスを「場所貸し」と位置付けていた。その建前があったからこそ、ユーザー間の商取引には介入しないことが原則だった。しかし今回の見直しによって、その前提が揺らぐことになる。
維持しても批判され、変えても批判され……となれば、どうすればいいのかとなりそうだが、とにかく「判断が遅かった」と言わざるを得ない。ここまで問題視される前に対応できていれば、ユーザーの受け止めも異なるものになっていただろう。
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