それでは、なぜ部下ではなく上司がAIを使うべきなのか。まず前提を整理しよう。
「AIを活用する仕事」は、アーティスト、カウンセラー、介護職、研究開発といった特殊な職種だ。創造性や身体性、感情的共感が求められる領域である。こうした職種は極めて少数派だ。
一般的なオフィスワーカーの場合、こうした仕事(何もないところから何かを生み出す、いわゆる「ゼロイチ」の仕事)をする人はほとんど存在しない。この仕事は何もないところから何かを生み出す、いわゆる「ゼロイチ」の仕事である。営業、経理、人事、総務、マーケティング。こうした職種で日々行われているのは、「AIに置換される仕事」か「AIに“活用される”仕事」のどちらかである。
そして上司の仕事は組織マネジメント、部下の評価、キャリア相談など、ほとんどが「AIに“活用される”仕事」の領域である。この現実を踏まえたうえで、なぜ上司がAIを使うべきかを解説する。理由は以下の2つである。
まず(1)についてだ。AIが生成したアウトプットを評価し、検証できるのは経験豊富な上司だけ。AIが出した戦略案は本当に正しいのか。データ分析に見落としはないのか。市場トレンドの解釈に誤りはないのか。こうした判断には、豊富な実務経験と専門知識が不可欠だ。
したがって、経験の少ない若手社員に「AIに“活用される”仕事」を任せるのは危険である。AIの出力を鵜呑みにして、誤った判断を下すリスクもある。なぜなら彼らには、AIが提示した内容が正しいかどうかを判断する材料が少ないからだ。
上司がAIを使いこなせば、業務効率は飛躍的に向上する。30分かかっていた資料作成が3分で終わる。データ分析の精度も上がる。そのうえで人間が最終判断を下すのだから、組織全体の質は確実に高まるだろう。
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