日米で進む「小売りのAI活用」 クリスマス・年末など季節商戦で活用する際のポイントとは(1/4 ページ)

» 2025年10月24日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。


 日本情報システム・ユーザー協会が2月に発表した言語系生成AIに関する調査結果(2024年度分)によると、調査対象となった全業種の41.2%が導入済み、もしくは試験導入中・導入準備中と回答しました。売上高が1兆円を超える企業においては約7割が導入済みという結果が出ています。

出所:ゲッティイメージズ

 次の図にある通り、全体平均と比較すると、小売・外食は14.9%に留まっています。とはいえ、前年度と比較すると導入率は1.3%から8.0%へと拡大しました。

筆者作成

 公正取引委員会が6月に発表した報告書によれば、日本の生成AI市場は2023年の1188億円から2030年には1兆7774億円と、約15倍に拡大するといいます。発展が確実に見込まれる生成AI市場において、小売業における活用の方向性について考察していきましょう。

AI活用は実証から実装フェーズに

 ウォルマートは2024年1月、世界最大級のテクノロジーイベント「CES」で生成AIを活用した検索機能を発表し注目を集めました。それまではウォルマートアプリ内において、検索したい商品やカテゴリー名を検索して絞っていくステップを踏んでいましたが、生成AIによって「キャンプで用意しなくてはいけないものは?」と聞くと1カテゴリーのみではなく必要となる商品全般がリスト化されるようになりました。

 同社はこの6月、米国内150万人の店舗従業員向けに、業務効率化と顧客サービス向上を目的とした新しいAI搭載ツール群を導入することを発表しました。

 このツールは、生成AIに限ったものではなく、AIによるタスク管理、リアルタイム翻訳機能や対話機能、AR(拡張現実)とRFID技術も組み合わせた在庫管理支援を主な用途としています。

 日本ではアマゾンが、9月に生成AIを搭載した対話型ショッピングアシスト(Rufus)を全ユーザー利用可能としました。米国に拠点を置く小売業においては、「業務効率化」と「顧客体験の向上」の両立を具現化すべく、「実証」から「実装」フェーズへと一気に進んでいることが見てとれます。

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