アスクルは10月29日、ランサムウェア感染に起因するシステム障害によって停止していた出荷業務の一部を再開した。攻撃を受けていた倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)を使用しない「人の手作業」による出荷スキームを構築。WMSの復旧スケジュールは見通せないものの、吉岡晃社長CEOは「出荷トライアル開始は、復旧に向けた重要な一歩と位置付けている」とコメントしている。
出荷トライアル運用を開始したのはコピーペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパー、ごみ袋などの37アイテムで、FAXによる注文を受け付ける。東京・新木場物流センターと、大阪市の大阪DCの2拠点から出荷するトライアル運用を開始したという。
WMSとは、倉庫内の在庫や業務を効率的に管理するためのシステムだ。入荷から出荷、棚卸、ロケーション管理、帳票発行など、倉庫における作業をデジタルで最適化する。10月19日に発生したランサムウェア感染によるシステム障害では、このWMSが攻撃を受けた。
同社は運用開始時点で、医療機関や介護施設など一部顧客からの注文のみを受け付けている。今回の運用を確認し、今後注文できる顧客と商品数を拡大していくという。
このトライアル運用は、手作業によるものであり、現時点でWMSの復旧スケジュールは確定していない。アスクルのグループ会社ASKUL LOGIST(東京都江東区)が、良品計画など他社の倉庫業務を代わりに引き受けている3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業の出荷については、今回の手作業による出荷再開の対象外だ。
同社は今回のトライアル運用による検証結果を踏まえ、拡張性を確認した上で、順次運用を拡大する。WMSの復旧に伴う本格的なサービス再開まで、「あらゆる手段を検討していく」という。
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