すべての会議で根回しが必要なわけではない。根回しが必要なケースと不要なケースを見極めることが大事だ。
根回しが必要なのは、次のようなケースである。
これらのケースでは、事前の根回しが成功の分かれ目になる。いっぽう根回しが不要なのは、おおむね次のようなケースだ。
これらの場合は、根回しに時間をかけるよりも、会議で直接議論したほうが効率的である。
根回しが必要かどうかを判断する際は、「この提案が通らなかったら、どれだけの損失が発生するか」を考えるといい。損失が大きければ大きいほど、丁寧な根回しが必要だ。
最後に「モーレツ確認」について解説したい。根回しで重要なのが「モーレツ確認」だ。モーレツ確認とは、認識のズレがなくなるまで徹底的に確認を続けることである。
建物を建てるときの設計士を思い浮かべてほしい。設計士は施主に対して、何度も何度も図面を見せて確認する。「本当にこの図面で家を建てていいのか」「この間取りで問題ないか」「予算は大丈夫か」と、しつこいぐらいに確認するものだ。
それはなぜか。一度建ててしまったら、やり直しがきかないからだ。曖昧な合意のまま進めると、後で大きなトラブルになる。だからこそ、設計士は施主が完全に納得するまで確認を繰り返す。
根回しも同じである。「だいたい理解してもらえた」という曖昧な状態で会議に臨んではいけない。相手が本当に理解しているか、本当に賛成しているか、モーレツに確認するのだ。
具体的には、次のような確認をする。
「今説明した内容について、何か懸念点はありませんか?」
「この提案に賛成していただけますか?」
「会議の場で反対意見が出る可能性はありませんか?」
「他に確認すべき人はいませんか?」
このように、あらゆる角度から確認する。相手が「大丈夫」と答えても、本当に大丈夫か見極める。表情や声のトーンから、不安や疑問を感じ取ることだ。
モーレツ確認は、相手にとっても有益である。理解が曖昧なまま会議に出席すると、後で「聞いてない」「そんなつもりじゃなかった」と問題になるからだ。事前にしっかり確認しておけば、そうしたトラブルを防げる。
根回しは、単に事前説明するだけではない。関係者全員が完全に納得し、会議で賛成してくれる状態まで持っていくことだ。そのためには、モーレツ確認が欠かせない。
会議で提案を通すには、根回しが9割だと言っても過言ではない。いくら優れた提案でも、根回しなしでは通りづらい。関係者の感情を無視した提案は、反射的に反対されるからだ。
根回しを成功させるには、俯瞰的な視点を持ってステークホルダーを正しく把握することだ。そして「モーレツ確認」で、認識のズレを完全になくす。建物の設計士のように、何度も何度も確認を重ねるのである。
根回しは古い慣習ではない。組織が複雑化した現代だからこそ、ますます重要性を増している。丁寧な根回しができる人こそ、組織で成果を出せる人材なのだ。
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