マイナンバーカードの更新や「マイナ保険証」への移行が重なり、各地の自治体窓口で混雑が発生する中、周到な事前準備で混雑を回避している自治体がある。
その一つが、宮崎県都城市。マイナンバーカード普及の先進地として知られ、2025年10月末時点の保有率は89.2%(総務省調べ)と、人口10万人以上の都市ではトップレベル。
制度開始から10年を迎え、多くの市民が更新時期を迎えているとみられるが、窓口では目立った混雑は起きていないという。
「12月2日のピーク時に瞬間風速で20分程度の待ち時間が生じたが、その他の日時では5分以内にお呼び出しできている」
同市デジタル統括課の佐藤泰格さんはこう話す。従来の健康保険証の期限が1日で切れ、2日からマイナ保険証に移行。この切り替え手続きに加え、マイナンバーカードの更新も重なり、この時期に来庁者が増えると見込んだ同市では、事前にさまざまな手を打ってきた。
市ではマイナンバーカードの制度開始当初から、本庁舎地下1階に専用会場「マイナンバーカードサポートセンター」を設け、交付や申請の問い合わせを受け付けてきた。今回の来庁者増を見込し、2025年度からは専用会場の窓口を12に増やしたほか、待合室も増設した。
マイナンバーカード関連業務を通常窓口と混ぜると「互いに干渉を起こし混雑の原因になる」と佐藤さんは指摘。申請や交付手続きには家族で来庁する市民も多く「待合室の十分な確保が求められる」という。
市では行政サービスの効率化を目的に、マイナンバーカード関連事務を郵便局に委託する全国初の取り組みを2024年2月から実施。カードの新規申請や、カードに搭載された電子証明書の更新などが市内にある「イオンモール都城駅前内郵便局」でできるようになった。
このほか、窓口の待ち時間に職員がトークスクリプトを活用して住民に事前準備をすることで対応時間が短縮し、回転率が向上したほか、保険証の切り替えに関わる混雑を予想し、SNSを通じて事前のカード更新などを呼びかけてきたという。
佐藤さんは「マイナンバーカード関連の手続きは時期によって波が生じる。来庁者が増える時期でも住民に不便をかけないような準備が実った」と話した。
都城市は、優れたDX事例を表彰する「日本DX大賞」で3年連続大賞を受賞するなど、DX先進地としても知られる。
一方で、マイナンバーカード関連業務においては、DXの進展具合よりも「事前の更新呼びかけや窓口の拡充など、状況変化を見越した事前準備が重要」だと佐藤さんは話す。
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