多くの企業が吉沢さんに対してセオリー通りの企業危機管理対応をしている中で、なぜアイリスオーヤマはこのような「神対応」ができたのか。
まず、大前提としてミもフタもないことを言ってしまうと、「非上場」ということが大きい。今回、中居さんの件でフジテレビが記者会見に応じた背景には、大株主である米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが信頼回復に努めるよう強く要請したとされているように、上場企業は株主からのプレッシャーに弱い。
裏を返せば、広告やCMに起用しているタレントが不祥事を起こした際、トカゲの尻尾切りのような対応をする企業が多いのは、社長など経営幹部が、株主から「法令順守の意識が低い」「イメージを毀損(きそん)して損害を出した」などと突き上げられる事態を回避している側面もあるのだ。
この点、株式非公開の同族企業であるアイリスオーヤマはまったく気にしなくていい。それが今回のような対応を可能とした理由の1つだ。
ただ、ここが大事なポイントだが「株式非公開の同族企業」だからといって「神対応」がしやすいわけではない。むしろ、こういうタイプの企業の中には、あまりに自由奔放すぎて、火に油を注ぐような「炎上対応・炎上会見」となるところが多い。
分かりやすい例として、ビッグモーターが挙げられる。保険金不正請求や勝手に街路樹をひっこ抜いていたことなどの不正が次々と発覚した同社が、ダメ押しのように大炎上をしたのは記者会見が原因だ。経営者が現場に責任を押しつけるなど暴言・迷言のオンパレードで「ここまでひどい会見は初めて」と批判が殺到したのである。
株主という外部のチェックが働かず、カリスマ創業者と息子がやりたい放題で組織ガバナンスがボロボロになり、危機管理どころではなかったことは記憶に新しいだろう。
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
女性にドン引きされる「パーカーおじさん会社員」が増えた、ちょっと意外な背景
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
“ヤンキー特化型”ドンキが大阪に上陸 ボンタン完売の店内はドキドキか、ギラギラか
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング