賃上げ実施率に“2倍差” 中小企業における「人事評価制度」の有無でどう変わる?

» 2025年12月18日 07時00分 公開

 人事評価制度の構築・運用支援を行う日本人事経営研究室(東京都渋谷区)は、中小企業の経営者・役員を対象に「人事評価制度の運用状況とそれによる企業への影響」に関する調査を実施した。直近1年間に賃上げを実施したかについて、人事評価制度を運用している中小企業では92.0%が「賃上げを実施した」と回答した。一方、運用していない企業では44.0%にとどまり、両者の間に約2倍の差があることが分かった。

photo 日本人事経営研究室は「人事評価制度の運用状況とそれによる企業への影響」について調査を実施した(提供:AC)
photo 会社は直近1年で賃上げを実施したか(出所:プレスリリース、以下同)

 人事評価制度を運用している企業では、従業員の業績や貢献度に基づいて賃上げを実施しやすく、評価が賃金に反映される仕組みが整っていることが賃上げにつながっていると考えられる。一方、制度を運用していない企業では、賃上げの基準が不明確なケースが多い事情がうかがえた。

人事評価制度と業績の関係性は

 直近1〜2年の「業績が向上した」と回答した割合は、人事評価制度を運用している中小企業で53.0%だった。これに対し、制度を運用していない中小企業では26.0%にとどまり、制度の有無が業績にも大きく影響している実態が明らかになった。

photo 会社の業績はこの1〜2年で向上しているか

 日本人事経営研究室は「人事評価制度によって、従業員一人ひとりの業務パフォーマンスや目標が明確に定義される。従業員が業績向上に向けた行動を取りやすくなることが、業績にも寄与していることが示された」と考察している。

 人事評価制度の効果について、運用している企業の経営層からは「従業員のモチベーションが向上した」(45.0%)との回答が最も多かった。ほかにも「昇進・昇格の実施がスムーズになった」(37.0%)、「賃上げができた」(36.0%)といった声が挙がり、人事評価制度が従業員の意欲向上やキャリア形成を通じて、企業全体のパフォーマンス向上に寄与している様子がうかがえる。

photo 人事評価制度を運用していることによる効果をどのように感じているか

 本調査は中小企業の経営者・役員を対象にインターネットで実施した。調査期間は10月10〜14日。有効回答数は200人(運用している経営者・役員100人、運用していない経営者・役員100人)。

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