その上で、注意や指導に従わないことが続くような場合には、懲戒処分も検討することになるでしょう。
懲戒処分をするためには、就業規則であらかじめ、懲戒処分の種類と事由を定めておく必要があります(労働基準法89条)。また「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められない懲戒処分は無効とされています(労働契約法15条)。
そのため、有効な懲戒処分をするためには、▽従業員の行為が就業規則に定められている懲戒事由に該当すること(客観的に合理的な理由があること)、▽処分内容、手続き共に社会通念上、相当であることが必要になります。
問題となっている従業員について、勝手に在宅勤務に切り替えるという問題行動の他に、別の不祥事があるか、問題行動の頻度、期間、経緯、動機、問題行動が業務に及ぼした影響、さらには、業務命令に従わない従業員の反省の程度や、今までの処分歴、会社への貢献度――こうした事情も踏まえ、懲戒処分をするかどうか、するとしてどの程度の処分にするか、総合的に判断することが求められます。
また、過去に類似事例があれば、その事案との均衡がとれているかどうかも考慮しましょう。問題行動に対して、いきなり厳し過ぎる懲戒処分をするのは危険です。処分対象者の意見を聞く機会を設け、手続き面でも慎重に、まずは軽い処分から進めていくとよいでしょう。
慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。ハラスメント問題、コンプライアンス問題、子どもの人権問題などに積極的に取り組み、弁護士として活動する傍ら、大学や大学院で教鞭をとり(慶應義塾大学大学院法務研究科助教、デジタルハリウッド大学非常勤講師)、ニュース番組の取材協力や法律コラム・本の執筆など、幅広く活動。ハラスメントや内部通報制度など、企業向け講演会、研修会の講師も務める。
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