スポットクルーを導入するきっかけとなったのは、すかいらーくグループで働くアルバイトからの「スキマ時間を有効活用したい」という声だった。広報担当者は「昨今、社会全体で人手不足が課題となる中、働きたいという意欲を形にするため、スポットクルーシステムを開発した」と説明する。
スポットクルーが増えることによるサービス品質やオペレーション効率のばらつきを防ぐために、店舗の業務効率化にも取り組んでいる。「タブレット注文やネコ型の配膳ロボットの導入により、業務自体をシンプルかつ標準化し、初めての店舗でもスムーズに業務に入れるようにしている。 動画マニュアルの拡充など、初めてでも分かりやすく業務を学べる仕組みを構築している」(広報担当者)
現在、タイミーやシェアフルなど、多くの企業がスキマバイトサービスを提供している。外部のサービスを活用するのではなく、すかいらーくグループ独自の制度として立ち上げた理由について、広報担当者は3つ挙げる。
1つ目が、勤務シフトのマッチングが柔軟になることだ。前述の通り、スポットクルーは各店舗のシフト状況と連動して募集をかけられる。そのため、急にシフトの調整が必要になった際も、柔軟に対応できる。
2つ目が単発バイトでありながら、業務経験を積み上げられることだ。すかいらーくグループは、異なるブランドにおいても安全衛生の基本やオペレーションを統一している。そのため、「ガストで培った経験をバーミヤンで生かす」といったことが可能だ。
3つ目は、他店・他ブランドで横断的に働く従業員が増えることで、接客・調理のノウハウが高まることだ。「いろいろなブランドで働いてみたい」といった意欲的な従業員の希望を叶え、ブランドを超えてノウハウを共有する機会創出にもつながっている。
現場では、人手不足の解消以外の効果も生まれている。スポットクルーとして実際に働いてみて店舗の雰囲気や仕事を知ることで、固定シフトの従業員として入社するケースも出始めているというのだ。「面接だけでは分からない相性」を店舗・応募者の双方が確認できるため、店舗マネジャーからは「ミスマッチのない採用手法」としての期待の声も上がっているそうだ。
スポットクルー制度により蓄積されるスキマ時間の傾向やブランド移動履歴などのデータは今後、どの時間帯・どのエリアでスポットワークのニーズが高いかなどの分析に活用する。これにより、店舗側は集まりやすい時間に募集をかけるなど、グループ全体の人的リソースの最適化に役立てていく予定だという。
すかいらーくホールディングスは今後、スポットクルーを通して、OB・OG などを含めた「グループの大きなコミュニティ」を作ることを目指している。「定職に就く事は難しいが、安心できる環境で柔軟に働きたいといった事情に対応でき、退職後もいつでも戻ってこられる、ライフスタイルに合わせて関わり続けられる──そんな、新しい雇用インフラとしての位置付けを目指す」(広報担当者)。人手不足に苦しむ飲食業界において、同社の取り組みの今後に注目だ。
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