年間「30万時間」の業務削減 パーソルが非IT人材の生成AI活用を浸透させた3つのポイント人事が2カ月で目標設定プロンプトをリリース(1/2 ページ)

» 2026年01月09日 06時00分 公開
[やつづかえりITmedia]

【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2026冬 開催決定!

現場知をAIでつなぐ──人が主役のデジタルコミュニケーション

【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)

【視聴】無料

【視聴方法】こちらより事前登録

【概要】AI時代に求められる「情報を共有し、信頼を築くコミュニケーション力」について紹介します。旭鉄工ではSlackとAI製造部長を活用し、現場の情報やノウハウを生成AIで共有・活用。暗黙知の形式知化を進め、AIと人が対話しながら思考を磨く仕組みにより、全員が自律的に学び、成果を生み出す組織へと進化しています。

 管理職になりたくない!──こんな声をよく耳にするようになった。昨今は「管理職=罰ゲーム」などという言葉も目立つ。

 管理職ならではの負担はさまざまに存在するが、その一つがメンバーの目標設定だ。

 パーソルホールディングスは、管理職の負担軽減と、それに伴う女性管理職の増加を狙い、社員の目標設定に生成AIの活用を始めた(※1)。人事部の担当者が自力でプロンプトを作成し、約2カ月でリリースしたという。

※1:プレスリリース

管理職にとって、メンバーの目標設定は負担の大きい業務の1つだ(写真はイメージ、ゲッティイメージズ)

 この例に限らず、同社では非IT部門の社員が自律的に生成AIを活用し、推定で年間30万時間超の業務時間を削減している(※2)。同社は、ChatGPTが一般公開されて間もない2023年に、生成AIの積極活用に踏み切った。それ以降、どのようにして社員の生成AIの利用を浸透させていったのか、関係者に話を聞いた。

※2:パーソルグループ統合報告書 2025 ダイジェスト版

部下1人に「1.5〜3時間」かかっていた 目標設定業務を生成AIで効率化

 グループ人事本部の山﨑諭さんは、2025年度上半期に社員向けの「目標設定スキル研修」の開発・導入を担当していた。狙いは2つ。管理職の業務負担の軽減と、それに伴う女性管理職の増加だ。

 「当社では、成果と行動・能力の2軸で各自の目標を設定し、それぞれの達成度で人事評価を行います。目標の内容は、管理職と部下とが面談して合意します。これまでは面談の場で、どのような成果目標をどういったプロセスで達成するのかや、現在のグレード(等級)で求められる行動・能力と本人の現状についての認識や課題感などをすり合わせ、目標に落とし込んでいく必要があり、このすり合わせに時間がかかっていました。1回の面談に1時間かかるとして、事前の準備や事後のフォローなども含めると1人に1.5〜3時間くらいはかかります。上長1人に6人程度の部下がいるため、かなりの工数になっていました」(山﨑さん)

 部下自身が適切な目標設定を済ませた上で上司との面談に臨めば、面談にかかる時間も少なくなる。そのために行われたのが「目標設定スキル研修」で、10月の目標設定に向けて8月頃からスタートした。

 この研修の開発に続いて山﨑さんに課されたミッションが、目標設定を支援する生成AIのプロンプト作成だった。

 「研修を企画する中で、適切な目標を設定するために必要な思考のステップがかなり整理されました。そのようなタイミングで、人事部の部長から目標設定のプロンプトを作ってみないかという話があったんです。下期の目標設定が始まる10月に間に合わせるべく、2カ月くらいで作りました」(山﨑さん)

 最初は関係者でミーティングを重ねて要件をまとめ、1カ月ほどでプロトタイプを完成。人事部内で実際に使ってもらってフィードバックをもらい、ブラッシュアップを繰り返してリリースに至った。

 でき上がったのは、パーソルグループの専用環境で動作するGPT「PERSOL Chat Assistant」(通称:CHASSU)に入力する7つのプロンプトだ。社員はまず、自身に課されているミッションやグレード、前期に上司からもらったフィードバックなどの内容を生成AIにインプットする。それを基に生成AIが投げかける問いに答えていくことで、内省を深め、具体的かつ定量的な目標を明文化していけるようになっている。

 利用した社員からは、「視点の抜け漏れに気付けた」「定量的目標の設定が難しい業務でも、問いかけにより内省が深まって目標設定の質が向上した」といった声が届いている。上司側も「部下が最初に持ってくる目標設定の内容の質が上がった」と評価しており、狙い通りの効果だといえる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR