A: 労働基準法上の労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」です。具体的には、使用者の明示または黙示の指示により、業務に従事したり、参加等が事実上強制されたりしている時間が、労働時間にあたる可能性があります。
また、待機時間のように、使用者の指示があれば直ちに業務に従事しなければならい場合、労働時間にあたると考えられています。
労働時間にあたるかどうかは、就業規則や雇用契約書の記載にかかわらず、客観的に見て、労働者の行為が使用者から義務付けられたものと言えるかなどにより、ケースバイケースで判断されます。
ご質問のケースでは、深夜や週末に、仕事上のアイデアや確認事項をチャットツールで部下に送っているということですが、文末に「返信は休み明けでいいよ」「忘れないためのメモなのでスルーして」などと付け加えているとのことであり、部下はメッセージを受信しただけで、深夜や週末に、使用者の指揮命令下で業務に従事しなければならない状況ではないと思われます。
また、上司からのチャットを受信したら、直ちに業務に従事できるよう待機している状況でもありません。したがって、休日や深夜にチャットを送ったとしても、それだけでは労働時間にはあたらないと考えられます。
しかし、部下は「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛」と訴えています。この主張は、最近、注目されるようになっている「つながらない権利」に関する主張と考えられます。
「つながらない権利」とは、労働時間外に、業務上のメールや電話への対応を拒否できる権利を意味します。労働者の心身の健康を維持し、ワークライフバランスを実現するために重要なものですが、日本では、権利として認めた法律はなく、具体的な施策はまだ講じられていません。
1月、有識者で構成された労働基準関係法制研究会が、労働基準法改正へ向け、報告書を公開しました。その中で「つながらない権利」について、「勤務時間外にどのような連絡までが許容でき、どのようなものを拒否できるかといった社内ルールを労使で検討していくことが必要」として、ガイドラインの策定を推奨するとしています。
パワハラとは「職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)のすべての要素を満たすもの」とされています。
そして(2)業務上の必要性や相当性については、問題となった言動の目的、経緯、状況、態様、頻度、継続性、言われた側の従業員の属性や心身の状況、行為者との関係性などを総合的に考慮して判断されます。
仕事上のアイデアや確認事項は、自分でメモを残しておき、勤務時間内に部下に共有することで足りるとも考えられ、一般に、深夜や休日に送信する業務上の必要性は小さいといえるでしょう。
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