「返信不要」と深夜に部下へチャット……これってハラスメントなんですか?(3/3 ページ)

» 2026年01月14日 08時00分 公開
[佐藤みのりITmedia]
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パワハラと認められる可能性が高まる行為とは

 一方、受信した部下は「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛で、動悸がする」と言っており、チャットの受信が大きな精神的負担になっている可能性があります。深夜や休日にチャットを送ったからと言って、直ちに違法なパワハラになるわけではないものの、業務上の必要性や相当性の観点から、送信を控えた方が望ましいでしょう。

 また例えば、

  • 言葉では「返信は休み明けでいい」と言いながら、休み明け直後に、チャットで送ったアイデアについて具体的な意見を求め、答えられないと厳しく指導することを繰り返している
  • 「忘れないためのメモなのでスルーして」と言いながら、後から「チャットで送ったよね、なぜ予定が頭に入っていないのか」などと責める

 このような行為については、違法なパワハラと認められる可能性が高まります。

 さらに、労働契約法4条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と、使用者の労働者に対する安全配慮義務を定めています。

 安全配慮義務の中には、労働者のメンタルヘルスへの配慮も当然含まれると解釈されており「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛で、動悸がする」と部下が訴えているにもかかわらず、無視して、深夜や休日にチャットを送り続けるとすると、安全配慮義務の観点からも問題があるでしょう。

 違法なパワハラや安全配慮義務違反と評価されれば、使用者が損害賠償責任を負うことにもなりかねません。業務上の連絡は、受信する側の気持ちにも配慮しながら、業務上の必要性が認められる方法で行うようにしましょう。

佐藤みのり 弁護士

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慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。ハラスメント問題、コンプライアンス問題、子どもの人権問題などに積極的に取り組み、弁護士として活動する傍ら、大学や大学院で教鞭をとり(慶應義塾大学大学院法務研究科助教、デジタルハリウッド大学非常勤講師)、ニュース番組の取材協力や法律コラム・本の執筆など、幅広く活動。ハラスメントや内部通報制度など、企業向け講演会、研修会の講師も務める。


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