『下町にも立ち始めた「タワマン」「億ション」 一体どんな層が購入しているのか』でも解説したが、タワマンなど都内の億ションを購入しているのは主に(1)パワーカップル、(2)経営者・富裕層、(3)外国人の3者だ。このうち2億〜3億円以上の高級物件を購入するのは(2)や(3)が中心であり、都心の物件価格はこの層がけん引している。
一方、購入件数でみるとパワーカップルがほとんどで、1億円前後の物件を購入している。一時期は「タワマンが外国人に買い占められる」という言説が広がったが、相場をけん引しているのはパワーカップルによる住宅需要だ。
パワーカップルは世帯年収が最低でも1500万円で、ペアローンや40〜50年の長期ローンを駆使して物件を購入している。都心でも比較的リーズナブルな物件や、下町に誕生しているタワマンの購入者となる。
住宅ローンは年収の5倍が安全基準だったが、昨今では7〜8倍まで許容範囲といわれるようになった。この計算なら、世帯年収が1500万円であれば1億円の物件を購入する購買力があることになる。
タワマンの価格は今後も上昇し続けるのか、または下落するのか。
パワーカップルが購入する庶民向けの物件と、経営者や外国人富裕層向けの物件は異なるため、それぞれを分けて考える必要があるだろう。まずは後者の物件について分析していく。
富裕層向けに関して、東京の物件は世界の大都市よりも安いとされる。日本不動産研究所によると、2025年10月時点で東京のマンション・高級住宅の価格を100とした場合、ニューヨークは154で、ロンドンは213、香港は253である。台北(166)や上海(157)、北京(124)より安いのが実情だ。そもそも都内でタワマンの開発が本格化したのは2000年以降で、億ションの供給は限られていた。また、円安が進行しており、外国人には安く見えている。
そのうえ、国内では格差が拡大しており、富裕層の数は増加している。野村総合研究所によると、純金融資産が1億円以上〜5億円未満の「富裕層」は2005年の81万世帯から、2023年には154万世帯と倍近くに増えた。5億円以上を保有する「超富裕層」も、5.2万世帯から11.8万世帯に増加した。
富裕層の増加を踏まえると、2億〜3億円以上に及ぶ高級物件の需要は根強いと考えられる。為替が円高方向に進んだ場合、外国人による需要は一巡することになるだろうが、その場合でも国内の富裕層が下支えするはずだ。所得・資産格差の増大で好立地のタワマンは今後も価格上昇が続くと筆者は考えている。
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