パワーカップルなど、比較的庶民寄りの人たちが購入する物件についてはどうか。職種としてはIT企業×金融、士業×コンサルのようなパターンが想定されるが、彼らの数が著しく減少する可能性は考えにくい。23区内の人口も2030年代半ばまで伸びる予想で、一極集中はしばらく続く見込みだ。
また、新築マンションの供給戸数は年々減少している。不動産経済研究所によると、23区内では2018年に1万5957戸あった供給は、2025年が通期で8500戸、2026年は8000戸まで減少する予想だ。マンション開発は2000年代に活発化したため、都内では土地が余っておらず、供給数が限られている。建築費の高騰で再開発が延期・中止になる事例も相次いでおり、供給数の減少は価格の押し上げ因子となるだろう。
だが、パワーカップルが購入する物件は実需との兼ね合いを考える必要がある。2019年度を基準とした場合23区のマンション賃料相場は現在までに約1.4倍に上昇している一方、新築マンションの分譲価格は2倍近くまで上昇している。この差は実需に沿わない上昇分と言い換えられ、2019年当時の新築マンション価格が約7200万円台と考えると、1.4倍の平均約1億円が妥当なラインだろう。
この場合、下町タワマンの「1億円超え」は割高と判断できる。今後の金利上昇も買い控えに一定の影響を与えることになるだろう。一等地のようなブランド力もないため、8000万〜9000万円台に落ち着くと筆者は考えている。
まとめると、都心部など一等地のタワマンは富裕層の増加を背景に今後も価格上昇が続きそうだ。10億円超えの物件も増えており、さらなる高級化も進む可能性が高い。一方で下町タワマンに代表されるパワーカップル向けの物件は、実需に合わせて高騰が一巡するとみられる。駅から離れた低層マンションは減少幅が大きくなるはずだ。今のところ相場全体が上昇しているが、近い将来、富裕層向けとパワーカップル向けの「二極化」が進むのではないだろうか。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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