6万円で苦戦したのに、なぜ8万円でヒットしたのか イワタニが炊飯器の“居場所”を変えたワケインタビュー劇場(不定期公演)(2/5 ページ)

» 2026年02月03日 07時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

問題は色

土肥: カセットボンベを使った炊飯器「プロゴハン」が応援購入サービスで話題になっていますよね。資料を見ると、「ガスの炎が釜全体を包み込み、お米のデンプンのα(アルファ)化を促進し、お米をふっくらツヤツヤに仕上げます」などと書かれている。ほかにもいろいろな機能を搭載しているわけですが、気になることがひとつ。

 2021年に、同じような商品を開発していますよね。商品名は「ハンゴー」。機能を比べると、ほぼ同じ。大きな違いは色と価格で、プロゴハンは黒色で7万9800円に対し、ハンゴーはオレンジ色で5万9800円。色にこだわりがない人から「安いほうでいいよ。2万円も違うしね」といった声が聞こえてきそうですが、なぜ“ほぼ同じ”炊飯器を、あらためて開発したのでしょうか?

2021年に「カセットガス炊飯器 "HAN-go"」を発売
アウトドアでの使用を前面に打ち出した

阿部: 発売当時、コロナの感染が広がっていたこともあって、キャンプ人気が高まっていました。「手軽に持ち出し、飯ごうで炊いたような、本格的でおいしいごはんを楽しんでもらいたい」という思いで、商品を投入したものの、市場の反応は鈍くて。目標販売台数を3000台としましたが、初速から反応がいまひとつでした。

 なぜ、想定よりも売れなかったのか。キャンプをする人に話を聞いたところ、「飯ごうを使っている」「メスティン(アルミ製の飯ごう)を愛用している」「パックごはんを食べている」といった声がありました。キャンプでは、ご飯を食べる人もいれば、そうでない人もいることが分かってきました。

 なぜ、ご飯を食べないのかというと「飯ごうを使っても、失敗することが多いから」「できあがりまで、じっと見なければいけないから」「ホットサンドですませているから」などのコメントがありました。

 キャンプブームの高まりを受け、アウトドア市場に商品を投入したわけですが、炊飯器はうまくマッチしていないのではないか。ターゲットを家庭での普段使いにしたほうがいいのではないか。このように考え、家電量販店での販売も試みました。

 しかし、問題は色。ほかの商品を見ると、黒や白などの人気色が並ぶ中で、オレンジ色だけがポツンとあるのは目立っていました。ですが、実際に家の中で使うかどうかとなれば「ちょっと派手かも」と感じる人が多かったのかもしれません。結局、2023年に終売しました。

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