業績好調だが、その一方で緒方社長は強い危機感を抱えている。新陳代謝の激しいスキンケア市場。「何もしなければ、ブランドはすぐに忘れられてしまう」と言い切る。
そのため、カップ型の洗顔石鹸とハンドクリームは3〜4カ月に1回の頻度で限定の香りを投入し、年間で最も売れた限定商品と、売れなかった定番商品を入れ替える。緒方社長は冗談めかして「僕たちが飽きちゃうんですよね」と言うが、ブランドの鮮度を保ち続ける上で的を射た仕組みだ。泡盛の酒粕やサンゴ由来の成分など、近年も沖縄産素材の開拓を続けている。
「世界のための沖縄になろう」というビジョンの下、5月には台湾の台北市に海外第1号店を出店予定だ。きっかけは台湾出身の社員たちが「台湾で首里石鹸を広めたい」と手を挙げたことだった。「従業員の働く場をつくる」というブランド創設時の思想はいまも変わらない。
緒方社長は「業界平均120%以上の給与水準」「選べる役割」「選べる働く場」という三本柱を強調した上で、雇用についての考え方を説明する。
「この3つを最大化するために売り上げや店舗の拡大が必要だという考え方です。沖縄で生まれて、県外や海外で働くことは簡単ではありません。社員が自分らしく、希望する場所で働ける環境をつくることが、前向きに仕事に取り組む原動力になります」
2024年度の営業利益は1億3000万円だったが、そのうちの5000万円以上を従業員給与の上乗せに回すなど、平均年収は年々増加を続けている。緒方社長ら役員も含めて全員の平均年収を公開し、社員がキャリアアップの道筋を描きやすい環境も整えているという。首里石鹸と同時期に運営を開始した本社にある事業所内保育施設も好評だ。
地方発ブランドの競争力は、素材の珍しさだけで高められるものではない。接客、出店戦略、そして、そこで働く人の人生まで含めて、どれだけ価値のある構造を設計できるかが問われる。首里石鹸の歩みは、その好例といえるだろう。
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