佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
Q: 内定者が、前職を退職代行で辞めていたことが分かりました。退職代行を否定するわけではありませんが、今回も退職代行を使っていきなり辞めてしまう危険性があります。退職代行を使ったことを理由に、内定を取り消してもいいのでしょうか。
A: 退職代行を使ったことを理由とした内定取り消しは、原則として認められません。内定取り消しは、一度決まった採用を、会社側の都合で覆す行為です。そのため、よほど明確な理由がなければ認められないからです。
一般的に内定取り消しが認められるのは、主に以下の3つのケースです。
加えて、新卒であれば「大学を卒業できなかった」場合も認められます。「退職代行を使った前歴がある」という事実は、3つのケースのいずれにも当てはまらないため、内定取り消しの根拠にはなりません。
ちなみに、実際に過去の判例を見ると、内定は口頭での合意であっても法的な効力が認められています。
では、3つの理由以外で「どうしても内定を取り消したい」場合はどうすればよいのでしょうか。この場合、労働法の枠組みを離れ、民事的な話し合いの領域に入ります。例えば半年分の給与に相当する違約金を支払うなど、本人との合意があれば、取り消しが成立する余地はあります。ただし、これは民法上の合意契約の話。合意に至らなければ、内定取り消しは実現しません。
一方、内定を出す前の選考段階であれば、話は変わってきます。「前職で退職代行を使った」という事実を踏まえて不採用と判断することは、特に問題ありません。採用するかどうかは会社側の裁量に委ねられており、不採用の理由を本人に説明する義務もありません。
退職代行の利用は近年急速に広がっています。「また退職代行で突然退職されてしまっては困る」と不安に思う経営者や人事担当者もいらっしゃるでしょう。退職代行への対応は「内定後」と「内定前」で大きく変わります。内定後の取り消しは原則不可、内定前の不採用は問題なし。この線引きを理解しておくことが重要です。
「1on1をすれば大丈夫」は間違い 若手の心理的安全性を高める“3つの説明”
同一労働同一賃金はこう変わる 企業がまずとるべき対策3選【10月施行】Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング