アルゴス体験話の前に、セインズベリーのスーパーとしての印象を整理します。
セインズベリー店舗に入って最初に目に入るのは、会員割引「Nectar Prices」(ネクタープライス)の生鮮商品の値引きです。訪店時、玉ねぎは95ペンス→80ペンス(約194円→約172円)、トマトは2.35ポンド→1.95ポンド(約505円→約419円)。会員になれば生鮮が確実に安くなるという訴求が、入口の時点で機能しています。紅茶などをエンドに集めたネクタープライスの一括訴求も、売り場施策として的を射ていました。
第一印象は普通の売り場です。しかし「普通」の完成度の高さが、同業の下位企業と比較したときに際立ちました。
通路幅はほぼ3メートル(実測で280〜300センチ)あり、買い物カートがすれ違っても動線は十分です。通路が広いので商品の視認性も良好です。この通路幅を確保できるのはアルゴス併設効果の一つです。回転率の低い商品はアルゴスの倉庫にまかせて、売れ筋を十分なスペースで展開できるのです。
20ポンド(約4300円)を超える高価格帯ワインは別陳列で区分され、倒れ止めや棚の高さの調整といった安全・視認面の基本も確保されています。照明は天井と棚上を組み合わせた標準的な配置で、過度に明るくせず売り場を均質に照らします。
特別な演出は何もありません。転倒防止、視認性、取りやすさ、照明、商品の鮮度管理という基礎動作の徹底が、顧客体験の安心感とオペレーション効率の両方を支えています。
筆者は店内アルゴスで、実際にモバイルバッテリーを購入しました。
アプリで検索すると候補は67件。20ポンド(約4300円)以下、評価4以上で絞り込み、USB Type-A、C専用か両対応かという仕様差を比較して、無難な両対応モデルを選びました。
「店内在庫あり」「配送なら3日」「この店なら明日朝9時に受け取り可能」──在庫と受け取りの選択肢は即座に可視化されます。この店に在庫がなければ、近隣店舗での即時受け取りか、郵便番号入力による配送日時の提示に切り替わります。決済はカードで完了です。
受け取りはさらにスピーディーな体験でした。
バックヤードは1階裏と地下の2フロアで運用されています。MFC(マイクロフルフィルメントセンター、小型の配送センター)のような完全自動化ではなく、専任スタッフが端末画面の指示を確認しながらピックする体制です。それでも最短30秒の提供実績があり、今回も注文から2分弱で商品を受け取れました。返品も同じカウンターで完結します。
普通のスーパーなら3SKU程度しか並ばないカテゴリーで、検索なら67候補からスペック・価格・評価・在庫・受け取り方法まで比較できます。必要な要素が決まっている目的買いのカテゴリーでは、陳列より検索のほうが顧客便益が大きいことを、購買体験を通じて実感しました。
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