建て替えより「放置」が増える? 老朽マンション再生の現実(1/2 ページ)

» 2026年07月05日 05時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 国内で老朽化したマンションの再生が大きな課題になっている。建築基準法改正前の旧耐震基準で建てられたマンションが寿命を迎える一方で、建て替えはほとんど進んでいない。政府は4月の改正法施行で建て替えに必要な要件を緩和するなど対策に乗り出したが、所有者の費用負担などのハードルは高く、再生への道筋は明確になっていない。

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全国に約103万戸

 国土交通省によると、「老朽化」の基準の一つとされる1981年の建築基準法改正より前に建てられた「旧耐震マンション」は、2024年末時点で全国に約103万戸ある。だが、マンション全体の建て替え実績は、25年3月末時点で累計323件、2万6000戸にとどまる。

 築40年以上の高経年マンションも、24年末時点の148万戸から20年後の44年には483万戸まで増えると、国交省は試算する。大規模災害時に被害が拡大しかねず、早めの対応は社会的な要請といえる。

 マンションの建て替えが進まない要因の一つに、法的なハードルがあった。そこで政府は昨年、区分所有法を改正し今年4月に施行。建て替えに必要な所有者の賛成比率を、耐震性などの課題がある場合に従来の「5分の4以上」から「4分の3以上」に引き下げるなど、合意形成をしやすいルールに変更した。特に小規模なマンションでは効果を発揮する見通しだ。業界関係者は「法改正をきっかけに建て替えは増えるだろう」と期待する。

 不動産デベロッパーなども建て替えを推進する。日鉄興和不動産は今年5月、築59年のマンション「高輪ビル」(東京都港区)の建て替えについて区から計画の認可を受けた。1981年の建築基準法改正前に建てられた旧耐震建築で、漏水事故も頻発していた。所有者の中には建て替えに後ろ向きの人もいたが、日鉄興和が個別説明会や建て替え中の住居の確保支援などを行い、合意形成を成功させた。

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