成長の波に乗り始めた友安製作所だったが、約10年前に本社で開催した地域向けイベントが、大きな転機をもたらすことになる。
「来場者が一番長い時間足を止め、動画を撮影していたのは、おしゃれに作ったオフィスよりも社内に残っていた製造工場の機械でした。それを見て、自社の価値はデザインやコンテンツだけじゃない。長年受け継いできた『ものづくり』にも人々をひきつける価値があるんだと感じました」
そこで、友安社長は社内に「製造事業の再開」を宣言する。社員からは「今さらまた昔のように針金やネジを作るのか」と反対の声が上がった。しかし、社長の狙いは別のところにあった。
同社には、ネジを製造する機械そのものを自社で製作していた職人の技術が残っていた。この高度な金属加工技術と、EC事業で培った「売る力」を融合させ、自社独自の建具や什器といったインテリア製品を販売することを考えた。
さらに、一部の商品は職人である溶接工自身にプロダクトの企画、コスト計算、数字管理などを任せている。
「以前は『価格と品質』が、消費者がものを買う際の判断基準の大半を占めていました。しかし、現在はそこに『ストーリー』や『情緒的価値』が加わっています。当社がものづくりをする意味、溶接工が自らプロダクトを考える意味は、ここにもあると考えています」
溶接工自身が展示会会場で直接顧客の声を聞く機会も作っており、そうした声が次のプロダクト開発の糧になっている。
この変革によって友安製作所のものづくりは、売り上げ全体の約10%を稼ぐほどに成長を遂げている。
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