従業員の皆さんが「あれ?」と思っている社内規定や人事制度。人事や総務など管理部門の皆さんが「こんなときどうすれば……」と迷っている制度設計や問い合わせ対応。そうした疑問を、社会保険労務士の佐藤敦規先生に聞いてみました。
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
Q: 当社では安全管理のため「午後7時に完全退館」をルールにしています。しかし、会社が残業を認めていないにもかかわらず、退館時間を過ぎても仕事を続ける社員がいます。注意しても「区切りのいいところまでやりたい」と聞きません。こうした社員に対し、どのような指導や処分ができますか? また、本人の判断で残っていた時間にも残業代を支払う必要があるのでしょうか?
A: 処分を考える前にまず確認したいのは、本当にその社員が「必要のない残業」をしているのかどうかです。
会社から見れば「勝手に残っている」ように見えても、実際には仕事が終わらないだけかもしれません。夕方になって急な依頼が入ったり、そもそも任せている業務量が多かったりする可能性もあります。
例えば、その社員に15〜30分単位で「何時から何時まで、何の業務をしていたのか」を日報に書いてもらいます。日報を基に、管理職側がどの程度の仕事を任せていたのか、残業せざるを得ない事情がなかったかを確認します。
その上で、必要がないにもかかわらず残業を続け、注意しても改善しないのであれば、段階的に対応していきます。
1回退館時間を守らなかっただけで、いきなり減給などの重い処分をするのは難しいでしょう。まずは注意や指導を行い、それでも改善しなければ、賞与や昇給の査定に反映する。さらに繰り返すようであれば、懲戒処分を検討するという流れです。
一方、残業代については「本人が勝手に残っていたのだから、払わなくていい」とは単純に言えません。
就業規則に「残業は上司の承認を得た場合に限る」といったルールを定められます。ただし、実際に裁判になった場合には、その時間まで仕事をする必要がなかったことを会社側が説明できるかが問題になります。
だからこそ、退館時間だけを管理するのでは不十分です。本人がなぜ残っていたのか、与えていた仕事量は適切だったのかまで確認し「本当に不要な残業だった」と説明できる状態にしておくことが重要です。
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