温水洗浄便座「ウォシュレット」を世に送り出すなど、トイレメーカーとして有名なTOTO。同社はいま、“半導体ビジネス”で急成長を遂げている。
便器の製造で培ったセラミック加工技術を生かし、半導体製造装置向け部材を手掛けている。主力商品は、半導体チップの基板となるウエハーを固定する「静電チャック」と、半導体製造装置の天井材に使う「AD部材」だ。「セラミック事業」は、収益の柱に育っている。
TOTOの田村信也社長は、同事業について「静電チャックとAD部材の元は、便器に使う技術だ。研究者が『便器の中を平滑にして汚れが付かないようにしよう』と凝った結果、とても高価なものになってしまった。便器に使えば効果はあるが、商売にならない。使い道を模索し、たまたま半導体領域に行ったらピタッとはまった」と話す。
TOTOの2027年3月期の中間決算(4〜9月)は、売上高が3647億円(前年同期比4%増)、営業利益が251億円(同21%増)。純利益は213億円(同142%増)で、上期として過去最高を記録した。
売上高の内訳は、トイレやシステムキッチンなど住宅設備を扱う「住設事業」が3249億円、半導体関連のセラミック事業が396億円だ。営業利益では、住設事業が84億円なのに対して、セラミック事業は182億円に上る。
売上高の約10%に過ぎないセラミック事業が、営業利益の約72%を占める結果だ。10月30日の決算説明会で、田村社長は「AIやデータセンターなどの旺盛な需要が続いている」として「セラミック事業の売り上げが思った以上に上がっている」「セラミック事業のおかげで、上期の純利益が『過去最高』と発表できた」と述べる。
近年のセラミック事業の成長は、会社にとっても予想外の出来事だったようだ。田村社長は、2021年に策定した中長期経営計画「共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を引き合いに出し「当時そこまで期待していなかったセラミック事業が、想定を大きく上回るレベルで伸びている」と説明する。
セラミック事業は、2021年3月期に黒字化した。田村社長は「良い孫ができたような感じだ。数年前までは赤字がずっと続いており、悪い孫だった。そういう意味では、改心してようやく良い子に育ったという感じだ」と表現する。
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