自治体DX最前線

公務員志望が減り続ける──「変革が進まない自治体」に共通する課題は?:2025年11月のヒット記事を振り返る(1/4 ページ)

» 2026年11月04日 06時30分 公開
[依光宏太,ITmedia]

1年前の11月に公開したヒット記事を振り返る:

ITmedia ビジネスオンラインが2025年11月に公開した記事で、反響が大きかった記事を編集部が厳選して再掲する。初出は2025年11月17日、文中の記述は掲載当時のまま。


 近年、公務員の人材不足が深刻化している。公務員志望者は減少しており、特に技術系の国家公務員一般職(大卒程度)では、2年連続で定員割れが生じている状況だ。

 地方自治体や事務系区分でも受験者数の減少が顕著であり、このまま採用競争力の低下が進むと、3年以内には技術系以外の職種でも同様の定員割れが広がる可能性が高い。若手職員の離職や民間企業への人材流出が進む中、限られた人員・財源で質の高い行政サービスを維持・向上させるためには、デジタル技術やAIを活用した業務プロセスの変革が急務となっている。

公務員の人材不足が深刻化する中、デジタル技術やAIを活用した業務プロセスの変革が急務(写真提供:ゲッティイメージズ)

自治体DXの現在地 システムを入れても現場の人が動かない

 実際に、国や民間企業も自治体のDX推進を後押ししている。デジタル庁は政府共通のクラウドサービス基盤である「ガバメントクラウド」の整備を進めるほか、オンライン申請、書かないワンストップ窓口、チャットボット「Govbot」など、行政手続きの効率化を支援する仕組み・ツールを次々と提供している。民間企業においても、自治体特有のセキュリティ要件や業務特性に対応したSaaSプロダクトの開発・提供が進んでいる。

 自治体側もDXの戦略・方針の策定を進めており、都道府県・市区町村の首長を対象にした調査では、「DX推進に関する全体方針を策定済み」と回答した自治体が約7割に達している。

 一方で、現場の職員からは「DXの方針が掲げられたが、進んでいる実感がない」「DXのせいで、かえってやることが増えた」といった声も聞かれる。例えば、ある自治体では住民の利便性向上と職員の負担軽減を目的にオンライン申請システムを導入したものの、窓口に訪れる住民の数は減らず、むしろ職員の業務負担は大きくなったという。新システムの整備や理解に加え、オンラインで受け付けた申請内容を職員が目視で確認する手間が生じるなど、結果として従来よりも業務工程が増えてしまったのだ。

 ただでさえ人手不足で多忙を極める自治体において、現場の職員が新たな施策や改革に慎重な姿勢を示すのは当然のことだ。「現場の状況も考えず、勝手に進められても困る」といった声が上がるのも、不思議ではない。

 限られた人員で日々の業務をこなす中で、新たな取り組みが「大きな負担」となってしまえば、変革は進まない。

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