半導体メモリ大手のキオクシアホールディングス(HD)は10月30日、2027年3月期第2四半期決算(7〜9月)を発表した。売上収益や純利益などが軒並み過去最高を記録。3カ月の業績が、前年度の通期業績を上回った。上期(4〜9月)の純利益は2兆1978億円で、好調な理由として「AI需要の拡大」を挙げた(関連記事)。
同社が製造する大容量かつ高性能な「NAND(ナンド)型フラッシュメモリ」は、生成AIの学習や推論に欠かせない大量のデータの記録先として需要が高まっている。参照するデータ量や計算量が大きい「エージェント型AI」の利用拡大が、NAND型メモリの需要を押し上げている。
同日に開いた2027年3月期第2四半期の決算説明会で、需要の大きさを印象付ける発言があった。
「2027年の生産能力は、アロケーション(顧客への割り当て)がほぼ終わっており、ソールドアウト(完売)している。わが社が供給できる量は全てアロケーションが済んでおり、極めて強い需要がある」――キオクシアHDの河村芳彦氏(副社長執行役員)はこう説明した。
翌年分の生産能力が全てアロケーション済みになるのは、同社史上初だ。2028年の生産能力についても50%超が確約済みで、2029〜2030年の商談も始めているという。
需要がひっ迫している状況を受け、キオクシアHDは生産能力を強化する方針だ。9月末の現金残高は1兆3973億円に上り、これを成長投資に振り分ける。
「市場のニーズが非常に強いため、むやみに多額の現金を持つよりも投資に回した方がリターンが得られる。コンティンジェンシープラン(万が一の備え)として合理的な範囲を残し、基本的には成長投資に回す」(河村氏)
成長投資の内訳は、設備投資、研究開発投資、人への投資、戦略投資としてM&Aを予定している。河村氏は、検討している中期経営計画の内容として、設備投資に毎年5000億円弱を当てると説明した。6月2日の投資家向け説明会では、2026〜2028年度にかけて年平均4700億円を投資すると説明しており、3年間で合計約1.4兆円を投じることになる。
「2026年に限っていうと、設備投資を急がなければならないため、3年間の合計額のうち2027年度に使うものを前倒ししている。2026年度は、6000億円弱まで使う計画だ。現時点で、3年間の設備投資計画を大きく変える予定はない」(河村氏)
設備投資の一つが、岩手県北上市にあるフラッシュメモリの主力生産拠点「北上工場」の拡張だ。2020年に第1製造棟が、2025年に第2製造棟が稼働している。同社は「第3製造棟」を新設し、2029年度中に稼働させる予定だ。
キオクシアHDの藤川俊彰氏(コーポレートコミュニケーション部長)は「AI需要の拡大に対応し、最先端製品の生産拡大と安定供給を図る」と説明した。第3製造棟が立ち上がるまでは、北上工場や三重県の四日市工場を活用して、生産能力を拡大する。
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