生成AIを業務に取り入れる企業が増え、日常的にAIを使う社員も珍しくなくなった。しかし、使う人が増えても組織全体の成果が上がるとは限らない。成果を生む「AIの活用を前提にした組織」は、どうつくればよいのか。
AI利用を全社に広げた企業の一つが、メルカリだ。同社が公開した2026年度6月期の決算説明資料によると、全従業員のAIツール利用率は1月末時点で100%に達し、エンジニア1人当たりの開発量はAI化前(2024年6月期)の7.6倍となった。
そのメルカリでも、AIを前提にした組織への転換は順調に進んだわけではない。AI活用に時間を使いたい社員を止める上司もいたという。同社のCTO(最高技術責任者)としてAI活用を推進し、現在は執行役員CHRO(最高人事責任者)兼CAIO(最高AI責任者)を務める木村俊也氏が、オンラインカンファレンスでその試行錯誤を語った。
本記事は、TOKIUM主催のオンラインカンファレンス「TOKIUM AX VISION」(10月15日開催)におけるセッション「AI前提の組織は、誰がどうつくるのか。メルカリの実践と、その先」を基に構成。
メルカリは2025年、働き方を見直し、AIを前提にした組織に変えるというビジョンを掲げた。「ChatGPT」「Claude」などのツールは半年ほどで全社に行き渡ったが、それが事業成果につながっているのか疑問が生まれた。
「ものづくりのスピードだけが上がっても、成果はなかなか増えない。企画から開発、各種チェックまで、上流から下流を全てエージェント化しなければ、全社は変わらない」(木村氏)
そこで同社は、各業務領域でAIエージェントを作り、それを前提に働く方針を打ち出した。とはいえ、新たな方針が約2000人の社員にすぐ浸透したわけではない。何をすればよいのか分からない社員もいれば、エージェント作りに時間を使いたい部下を止める上司も少数ながらいたという。
木村氏は2週間に1回、全社員が集まる場で「エージェント作りに使う時間は無駄ではない」と伝え続けた。それでも「時間がない」という声はなくならなかった。
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