対策として始めたのが「AI Agent Day」だ。1000人以上いる非エンジニアの社員を対象に、丸1日だけ業務を止めてエージェント作りに時間を充てるイベントだ。朝の1時間ほどで作り方を学び、チームで自分の業務に合わせたエージェントを作って、最後に発表し合う。
「エージェントを作って人と共有し『ワークフローを変えるとはどういうことか』を1日で体得できる」と木村氏は語る。参加者からは「この日から考え方が変わった」との声が上がったという。
もっとも、エージェントを作れば組織が変わるわけではない。同社が並行して試しているのが、これまで8人以上所属していた1チームの人数を5〜6人に絞った「AI Pods」という働き方だ。AIを使って1人が複数の領域を担う「越境」を前提にすれば、確認や相談が減り、意思決定が速くなるという仮説に基づき取り組んでいる。
1年以上かけてエージェントを育ててきたこともあり、バックエンドの開発者がWebやアプリの開発も担うといった職種内の越境は、比較的順調に進んだ。難しいのは職種をまたぐ越境だ。エージェントでWebアプリを作れても、コンプライアンスのチェックでは、エージェントの指摘をエンジニアが判断しきれない場面もあったという。
AI技術がどこまで進んでも「専門性を持つ人が最終判断を担う方が品質を保てる」というのが木村氏の見方だ。また、エージェントに良い仕事をさせられるかどうかは、使う人の力量に左右されるという。
その力量を発揮しているのが、業務の仕組みや組織を一から築いてきたシニア層だ。仕事を切り分け、何を任せるかを決めてきた経験が、エージェントの活用でも生きている。「部下への仕事の頼み方がうまいシニア層は、エージェントへの任せ方もうまい。この1年で、その活躍が見えた」と木村氏は指摘する。
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