常に目標を達成させる「常勝集団」をつくるために、キラキラしたビジネスtipsは必要ない。組織マネジメントを専門とする横山信弘氏が、本質的なマネジメント論を「キレイごとナシ」で解説する。
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
上司「先週の水曜、午後3時ごろに電話したけど出なかったね」
部下「あ……。すみません。ちょっと席を外していて」
上司「チャットは『オンライン』になっていたけどな」
部下「作業に集中していたので、気付かなくて」
上司「夕方にメールが届いてたけど、あれ予約送信だろう?」
部下「……」
有給休暇を申請せず、働いているふりをしながら私的な時間を過ごす。米国で「静かな休暇」と呼ばれる行為が、日本でも関心を集めている。
単なるサボりと片付けるのは簡単だ。しかし、これを個人のモラルの問題として処理している限り、同じことは繰り返される。問われているのは、職場そのものの「休みにくさ」なのだ。
今回は「静かな休暇」が生まれる構造について解説する。部下が本当に働いているのかが見えず、不安を覚えている上司に、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
まず、言葉の整理から始めたい。「静かな退職」とは、実際に会社を辞めるわけではなく、昇進やキャリアアップを目指さず、必要な業務だけを淡々とこなす働き方を指す。この言葉は、日本でもすっかり定着した。
一方で「静かな休暇」は、英語で「quiet vacationing」と呼ばれる。会社に休暇を申請しないまま勤務しているように見せかけて、実際には私的な時間を過ごす行為だ。チャットツールのステータスをオンラインに保ったりメールを予約送信したりして、働いている痕跡を残す。TikTokでも話題になり、やり方まで共有されているという。
リモートワークの普及により、上司や同僚から勤務中の様子が見えにくくなった。それが、こうした行動を取りやすくしたとされている。
2024年、米国の調査会社The Harris Pollが18歳以上の就業者1170人を対象に調査を実施した。全体の28%が、上司や会社に伝えず仕事を休んだ経験があると回答している。ミレニアル世代では37%に上り、Z世代でも24%に達した。
さらに注目すべき数字がある。ミレニアル世代の61%が、有給休暇を申請する際に不安を感じると答えているのだ。
これは米国の調査であり、日本の現場にそのままあてはめることはできない。しかし、有給を切り出しにくい心理とリモートワークが重なったとき、同じ現象が起きないと言い切れるだろうか。
ちなみに「静かな退職」と「静かな休暇」は、名前こそ似ているが、意味合いは全く異なる。前者は、働き方のスタンスの話だ。やるべきことはやるが、それ以上は目指さない。会社に対して何かを隠しているわけではない。一方、後者は働いていないのに働いているように装う行為である。この違いは押さえておきたい。
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