常に目標を達成させる「常勝集団」をつくるために、キラキラしたビジネスtipsは必要ない。組織マネジメントを専門とする横山信弘氏が、本質的なマネジメント論を「キレイごとナシ」で解説する。
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
実際に会社を辞めるのではなく、心の中で仕事と距離を取り、必要最低限の業務だけを淡々とこなす「静かな退職」という働き方。昨今、この言葉をよく聞くようになった。
マイナビの調査(2025年)によると、正社員の4割以上が「静かな退職」をしており、その約7割が「今後も続けたい」と答えている。これはもはや、一部の話ではない。
今回は「給料分しか働きたくない」という言葉に潜む根本的な誤解について解説する。部下のマネジメントに悩んでいる管理職は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
そもそも「給料分しか働かない」という言葉を使う人に私は問いたい。「給料分」とはどういうことなのか? 「給料分」の定義を正しく理解しているのか、とても気になっている。
それでは、企業の損益構造から考えてみよう。
一般論になるが、企業は売り上げを立て、そこから原材料費や外注費などの原価を差し引いて「粗利(売上総利益)」を得る。この粗利こそが、企業が生み出す付加価値と言っていい。粗利からさらに、家賃、広告費、システム費などの販管費(販売費及び一般管理費)を引いたものが営業利益だ。
社員への給料、つまり人件費は粗利の中から支払われる。人件費が粗利に占める割合を「労働分配率」という。業種にもよるが、一般的には50〜70%程度だ。
ここで、月給30万円の社員を例に計算してみよう。
まず、企業が実際に負担する人件費は額面給与だけではない。社会保険料の会社負担分・退職金積立・福利厚生費を合わせると、企業負担の人件費総額は額面給与の1.2〜1.3倍、おおよそ月38万〜42万円に上る。
この人件費は粗利から支払われるため、労働分配率(50〜70%)で割り戻すと、その社員が生み出すべき粗利は月55万〜85万円になる。
つまり、月給30万円の社員が「給料分の仕事をしている」状態とは、給料の2〜3倍近い付加価値を創出している状態のことだ。「決められた仕事をこなしているから給料分は働いている」という感覚は、果たしてこの構造を理解しているだろうか。仕事をこなすことと、付加価値を生み出すことは、同じではないのだ。
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