AI時代、事業が変われば組織も変わる。新規事業創出に伴う人材再配置やスキルベース組織への転換、全社でのAI活用の浸透など、DX推進を成功に導くために、組織・人材戦略や仕組みづくりがますます重要になる。DX推進や組織変革を支援してきたGrowNexusの小出翔氏が、変革を加速させるカギを探る。
指示された業務は的確にこなす。しかし、会議での発言は激減し、改善提案は一切出さず、定時ピッタリに席を立つ――。かつて誰よりも熱く語り、難案件に自ら手を挙げていたエース社員の「静かな変化」を、会社は正しく捉えられているでしょうか。
以前の記事で「静かな退職」(Quiet Quitting)は、決して単なる怠業やサボりではなく、職務記述書にない「裁量貢献(余白の努力)の意図的な停止」であると解説しました(参考:「静かな退職」は“悪”か? それとも“賢い選択”か? 職場のモヤモヤを整理する4つのチェックリスト)。
では、現場の社員たちはなぜ、かつて持っていた熱意を失い「最低限の仕事しかしない」という選択をするのでしょうか。本記事では、静かな退職がこれほどまでに広まった要因を解き明かします。
さらに、実際に社員がどのような心の動きを経て心を閉ざしていくのかを「6つのペルソナ」(人物像)として解剖し、彼らが再び健全な貢献を取り戻すための「5つの復活ジャーニー」を提示します。
静かな退職のまん延は、単一の理由で起きているわけではありません。以下の6つの要因が複雑に絡み合い、社員の組織に対するエンゲージメントを削ぎ落としています。
かつての日本企業には、強固な「暗黙の契約」が存在していました。社員が会社への無限定な忠誠、長時間労働、会社都合の全国転勤を受け入れる代わりに、会社は雇用を定年まで保障し、年功による着実な賃金上昇とポストを約束するという取引です。
ところが現在、低成長による賃金停滞、中途半端な成果主義の導入、事業の非連続な変化、ジョブ型雇用への移行の動き、そして業績悪化時の早期退職募集などにより、会社側からの「見返りの保証」は大きく縮小しました。
それにもかかわらず、社員に対しては依然として「無制限のコミットメント」を求める傾向が残っています。「頑張ればいつか会社が報いてくれる」という信頼が崩壊したとき、社員が自己防衛として「契約された給与の範囲内だけをやる」という考え方に回帰するのは、極めて合理的と言えます。
米国の調査会社Gallupの分析によると、パンデミック期以降、特に若年層において「職場で誰かが自分を気にかけてくれる」「成長機会がある」「何を期待されているか明確である」という感覚が著しく低下しています。
これは単にリモートワークで怠けやすくなったという話ではありません。物理的なオフィス空間を共有する時間が減ったことで、先輩の背中を見て学ぶ、ちょっとした雑談による承認、同期との連帯感といった「職場から得られていた無形の報酬」(所属感・ソーシャルキャピタル)が激減したのです。
仕事が純粋な「タスクの処理」に還元された結果、組織への帰属意識が薄れ、静かな退職へのハードルが下がっています。
現場で頻発し、かつ深刻なのがこの要因です。評価システムが機能していない職場では、評価されない努力、誰もやりたがらない炎上案件の火消し、属人化した便利屋としての業務が一部の「責任感の強い優秀な社員」にだけ集中します。
「やればやるほど仕事が増え、自分の時間は減る」「それなのに、定時で帰る無難な社員と評価やボーナスの差は微々たるものだ」「昇進しても管理職は疲弊するだけで割に合わない」――こうした経験を繰り返すことで、優秀な社員ほど「頑張らない方が得だ」と学習します。この負の学習が完了したとき、社員は自らの出力を最適化するために静かな退職を選ぶのです。
国や企業を挙げて「キャリア自律」や「リスキリング」が推奨され、副業の解禁や流動性の高い転職市場が形成されたことで「一つの会社に人生のすべてを預ける」という就社の前提が崩れました。マイナビが運営する調査・研究メディア「マイナビキャリアリサーチLab」の調査の総評でも、働くことを通じた自己実現の在り方が多様化していることが指摘されています。
会社での社内政治や出世競争から降り、副業、資格取得、あるいはプライベートでの学びにリソースを配分するほうが、個人の幸福度や中長期でのリスクヘッジの観点から合理的だと判断する層が増加しているのです。
静かな退職は、経営陣のメッセージ以上に「直属の上司(マネジャー)との関係性」において発生します。
先ほどのGallupの調査では、静かな退職への対処においてマネジャーの存在が重要であり、部下の状況・強み・目標を知るための「週1回15〜30分の意味ある会話」を推奨しています。しかし日本企業では、プレイヤー業務に忙殺されるプレイングマネジャーが多く、1on1ミーティングが導入されていても、単なる「目の前のタスクの進捗確認」に終始しているケースが散見されます。
キャリアの悩みや業務負荷の調整といった本質に沿った対話が行われないまま放置されれば、部下は孤立感を深め、静かに心を閉ざしていきます。
本人が「これ以上このペースで働き続ければ、心身が壊れる」と直感したとき、退職や休職のカードを切る前に、まず自らの出力を落とすフェーズが存在します。
これは怠慢ではなく、生命体としての「生存戦略」(防衛機制)です。会社や上司がここを見誤り「最近元気がないぞ」「もっと主体性を持て」と無理解な叱咤(しった)激励をすれば、その先の休職・離職・メンタル不調などにつながる可能性があります。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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