従業員の皆さんが「あれ?」と思っている社内規程や人事制度。人事や総務など管理部門の皆さんが「こんなときどうすれば……」と迷っている制度設計や問い合わせ対応。そうした疑問を、社会保険労務士の佐藤敦規先生に聞いてみました。
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
Q: 採用時に持病や障害の申告がなかった社員が、入社後に「実は発達障害がある」と人事に話しました。会社から申告を求めていなかった場合、本人が伝えなかったこと自体を問題にできるのでしょうか。また採用時に申告を求めたり、入社後に業務上の支障が出た場合に異動や退職勧奨はできますか?
A: 「会社から聞かれていなければ、本人があえて発達障害について申告する必要はない」というのが基本です。採用時に伝えなかったことだけを理由に、問題視するのは難しいでしょう。
ただし、どのような仕事に就くのかによって、会社が採用時に健康状態などを確認する必要があるかどうかは変わります。
例えば、発達障害などがあっても日常生活に大きな支障がなく、一般的な事務職や営業職に就くのであれば、本人からあえて申告しなかったこと自体を問題にするのは難しいでしょう。一方、ドライバーなど人命を預かり、高い集中力が求められる仕事では、安全に関わるため、会社側が採用時に確認する必要性も高くなります。
会社が採用時に持病や障害について確認し、申告を求めるルールを設けること自体は可能です。ただし、申告があったことだけを理由に、一律に不採用とするような運用には注意が必要です。
では、入社後に実際の仕事で支障が出た場合はどうでしょうか。
ここでも「発達障害があること」と「仕事上の問題」は分けて考える必要があります。発達障害があることだけを理由に異動させたり、退職を促したりするのは問題になります。
一方「実際に任せた仕事ができていない」「指導しても改善が見られない」といった事情があるのであれば、仕事の出来具合や本人の意欲などを総合的に見て、より適した部署への異動を検討できます。状況によっては、退職勧奨を検討することも考えられます。
会社が確認すべきなのは、障害名そのものではなく、実際の仕事で何に支障が出ているのかです。どの業務で、どのような問題が起きているのかを具体的に把握した上で、その後の配置や対応を考えていきましょう。
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