こうした行政による後押しもある中、喜多方では伝統を守るだけでなく、新たな味や店づくりに挑戦する動きも広がっている。
食堂 はせ川だけでなく、いわば「進化系」とも言うべき新しい店やメニューが登場しているのである。
2025年4月にオープンした「ララゴッツォ」は、元フレンチシェフがつくる上品で奥深いスープが好評で、カフェを思わせるおしゃれな内装も特徴だ。
海外向けに喜多方ラーメンの知名度を上げるための取り組みも行われている。市や市内のラーメン店、製麺業組合などで構成する「喜多方ラーメンリブランディング事業推進委員会」は、インバウンド向けの1杯3000円のラーメン「SUGOI」を発表。会津牛のチャーシューなど、地元食材を盛り込んだ一杯として注目を集めた。
また、食堂 はせ川はさらに別の“新たな”取り組みも進めている。すでに閉店した、かつての名店の味を復刻する試みだ。
長谷川氏自らが、かつて食べた味を思い出しながら、店の親族や常連だった人たちに聞き取りを行い、味の再現を目指している。「近く発表できるところまで進んでいる」と、長谷川氏は自信を見せる。
新しい味を生み出す一方で、失われつつある味を受け継ごうとしている喜多方ラーメン。新旧を融合させながら進化を続ける姿が、再び大きな注目を集める日も遠くないかもしれない。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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