なぜ、元・大企業の部長が「自席で地蔵」になるのか? 中小企業が陥りがちな“シニア採用”の落とし穴(2/4 ページ)

» 2026年10月26日 07時00分 公開

半年で損失1000万円の可能性も 中小企業を直撃する「採用失敗」の代償

 大企業出身者の採用に失敗したとき、中小企業が受けるダメージは想像以上に大きい。

 例えば、前職で年収1500万円だった人を、年収1000万円で迎えたとする。社内の生え抜きで最も給料が高い人が800万円という会社であれば、それだけの期待を込めた採用だということになる。人材紹介会社を通せば手数料として年収の35%、金額にして350万円ほどかかることもある。

 この人が半年の試用期間で去ることになれば、返金規定の対象期間を過ぎていることが多く、紹介手数料はほとんど戻らない。半年分の人件費は社会保険料を含めて600万円ほどだ。合計で約1000万円が出ていくことになる。

 損失はそれだけにとどまらない。周囲が資料の準備や対応に時間を割いていれば、職場の雰囲気にも影響が出る。

 また、試用期間中であっても、本採用の見送りには合理的な理由が求められる。試用期間を過ぎればハードルはさらに上がる。成果が出ないまま在籍が続いても、正社員を簡単に解雇することは容易ではない。話し合いがこじれ、双方にとって不幸な形で別れるケースもある。

 実際、私たちが面談するシニアの中にも、大企業を辞めて中小企業に入ったものの、試用期間を越えられずに離れた方は少なくない。会社側が本採用を見送ったケースもあれば、本人から辞めたケースもある。いずれにしても、受け入れた企業にとっては痛手だ。

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