これからの人工知能との付き合い方(前編):人工知能に人間の職業は奪われるのか(1/4 ページ)
人工知能を巡る議論の前提となる考え方、そして人工知能は人間の感情や本能を再現できないという内容で、東大准教授・松尾豊先生に話を聞きました。
毎日のように飛び込んでくる人工知能に関するニュース。そうしたニュースを読んで特に皆さんの印象に残るものとはなんでしょうか。
それは、人工知能によって将来人間の職業は奪われてしまうのではないだろうか、という恐れではないかと思われます。
今回はこの議論に関して、東京大学で人工知能分野を主に研究している松尾豊准教授にインタビューを行いました。人工知能と人間がこれからどのような関わり方をしていくことになるのか――特に、“クリエイティビティ”を軸についてうかがいました。
“人工知能は人間の職業を奪う”のだろうか?
具体例から考えていきたいと思います。記事「10年後になくなる可能性が高い職業とは(前編)」では、定量的な分析結果から調理人・コックが能力的に代替される可能性が高いという結果となりました。
では実際のところ、コックという職業は人工知能に奪われてしまうのでしょうか?
――例えば、調理師のような職業についての代替可能性について、どうお考えですか?
松尾先生: 包丁で食材を切る、大根おろし器を使うといった行為はあくまでも人間の身体にとって最適な形に整えられたものです。人工知能を搭載するロボットが全く同じ形で料理を作るのは難しいかもしれないですが、ロボットにとって最適な形で料理というアウトプットを出す、ということは今後もっと可能になっていくでしょうね。
――「切る」という行為についても、今は人間が包丁を手で握って動かしていますが、ロボットの場合は例えばプレス機みたいに上下の運動に特化しているとかが考えられるでしょうか
つまり人工知能に関する議論を進める際にはまず、人間の得意な形、人工知能の得意な形が違うことを意識すべきではないかということです。
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