3Dプリンターで回路基板を製作、NY発のベンチャーが狙う日本市場:日米のビジネス事情の違いを知る(6/9 ページ)
米国でビジネスに力を入れる日本人起業家や、日本とのビジネスに興味を持つ外国人と対話する「アントレプレナー対談。日米のビジネス事情の違いを知る」。今回は、ニューヨーク発のハードウェアスタートアップ「BotFactory」のCEOをゲストに迎えました。
関: となると、Squinkの商品価値は「時間短縮」にあるのでしょうか? もっと言うと「共有されているアイデアを使い、回路基板を速く、正しく実現できる」。ここに魅力があると考えてよろしいですか?
ニコラス: おっしゃるとおりです。Squinkを使えば、最短で電子回路を1〜2分で印刷し、2〜3分で部品の糊付け、15分で組み立てることができます。今、私たちがUIの改良に力を入れているのは、マニュアルなしで使えるようにしたいと考えているからです。既存の回路をダウンロードしたら、完成までにどのくらい時間がかかり、それにはどんな部品が必要なのかを教えてくれるなどの情報が提供されれば、より便利になるでしょうからね。
関: それはとても大事なことですね。ちなみに、御社の競合はいるのでしょうか?
ニコラス: ええ。ただ興味深いのは、このマーケットにいる競合は、それぞれが違う方向に向かっていることです。規模の大きな製造業もこの分野に取り組んでいますが、彼らは基板を作っているので、「競合」というよりも「潜在的なパートナー」と考えています。
もちろん、直接バッティングする競合もいますが、私たちのように電子回路の印刷から部品のピッキング、糊付け、組み立て……といった全ての工程まで網羅しているところは、ないと思います。多くは「印刷」か「部品のピッキング」か主に片方の問題解決に力を入れているからです。私たちは、2つの問題を同時に解決しようとしているところが、違いでしょうね。
関: 両方を解決しようとしている会社は、いないと見ているんですか?
ニコラス: もちろん戦略で「全部を見据えている」と言っている会社はいますが、現状はやっぱりどちらかだけでしょうね。
関: 競合は日本にもいるんですか?
ニコラス: ええ、家庭用インクジェットプリンターで回路を印刷できる「AgIC」という会社が有名ですね。あとは日本だけでなく、オーストラリア、カナダ、米国西海岸にも。多くはプリンティングに特化していて、モノづくりに興味のある人たちに、手ごろな価格の製品を提供しています。大体、1台当たり1700ドルから2200ドル程度で販売しています。
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