3Dプリンターで回路基板を製作、NY発のベンチャーが狙う日本市場:日米のビジネス事情の違いを知る(7/9 ページ)
米国でビジネスに力を入れる日本人起業家や、日本とのビジネスに興味を持つ外国人と対話する「アントレプレナー対談。日米のビジネス事情の違いを知る」。今回は、ニューヨーク発のハードウェアスタートアップ「BotFactory」のCEOをゲストに迎えました。
日本市場への進出も興味あり
関: 現在のところ、ベースは米国ですよね。今後、日本進出も興味はありますか?
ニコラス: 大いにあります。日本は何十年も、コンシューマエレクトロニクス産業のリーダーでしたからね。最初にSquinkを作った時から、この製品のターゲットは、米国だけではないことは分かっていました。特にエレクトロニクス産業にとって、アジアが要だと考えています。
素晴らしいデバイスやゲーム機など、新しいコンシューマエレクトロニクスの多くは、日本から始まっていますよね。Squinkは“新しいモノ・コトを始められるようにするための製品”ですから、さまざまな新しい製品が産み出されてきた日本というマーケットには、ピッタリだと考えています。それに市場に出回っている「PCB」(プリント基板。電子部品を固定して配線するための電気製品の主要な部品のひとつ)の30〜40%は、アジアで製造されているので、日本を中心にアジア市場には興味があります。
唯一問題があるとすれば、チームにアジア出身者がいないことです。なので今考えているのは、アジアと欧州それぞれで製品の流通を担当してくれる企業のパートナーと組み、他の市場を攻略していくことです。米国を除くと、この2つがとても大きな市場ですからね。
関: 各地域のパートナーに求めることはありますか?
ニコラス: Squinkには、完璧なインク、糊、部品などさまざまなものが必要となります。ただ、これら全てを私たちが提供するわけではないので、マーケットに合わせた適切な素材をパートナー経由で入手することや、どこにそういった素材があるのか、どういうルートで販売していったら良いのかなどのリサーチをしてもらえたらと考えています。もちろん投資の面でもサポートしてもらえたら嬉しいですね。いずれにしても、そのマーケットを始動できるよう、一緒に戦略を考えてくれるパートナーと手を組みたいです。
関: 資金調達の面では、すでに戦略的なパートナーとの話し合いは始めていますか?
ニコラス: ええ。ただ、クラウドファンディング出品後は、製品作りに集中していたので、投資家との話し合いを再開したのは、ごく最近のことです。
パートナー候補として、CADツール(コンピュータによる設計支援ツール)を手掛けているようなソフトウェア会社や、電子回路部品のメーカーも適していると考えています。今私たちが興味を持っているのは、例えば、パートナーの顧客が特殊な電子回路を欲しがっているようなケースです。もしSquinkがパートナー企業に置いてあれば助けになるでしょうし、そうでなくても私たちが使った同じ回路をパートナー企業側で大量生産できれば、顧客ニーズに応えられると思います。
関: 聞けば聞くほど、アジアのパートナー企業が必要そうですね。
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